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オリエント急行殺人事件の62355cinema5のレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
4.0
公開初日に鑑賞。

1974年のシドニー・ルメット版のリメイク。

以前に原作も読み、結末も分かっていたので、この作品はスキップしようと思っていたが、監督がケネス・ブラナーであり、ミッシェル・ファイファーも出演しているということなので観にいきました。

個人的には、素晴らしい仕上がり
だったと思います。

以下、作品(犯人)を全く知らないという人やこれから観る人は、読まないほうがいいです。

まず、犯人が既に分かっていたので、刑事コロンボや古畑任三郎を見るような気分で、ポワロがいつ犯人をあぶり出し、追いつめていくのかに視点を置いて見ることができ、たいへん興味深かったと思います(私には彼のような推理はできませんが)。

でも、シドニー版が冒頭で見せたように、そもそもの発端となった幼児誘拐殺人事件の説明があまり触れられてないので、初見の人には分かりにくいかもしれません。

また、オリエント急行の車両がとてもゴージャスであり、雪山の中を走る姿に旅情を感じました。やはり、JRの瑞風や四季島のようなクルーズトレインはこれが原点ですね。

シドニー・ルメット版は脱線しなかった(?)と思うんですが、今回は脱線します。それを、重機を用いずに、たった一晩で保安員が復旧するという荒技に驚きました。保安業務は大変ですね。

ポアロが最後に降りるBRODという駅も、降雪した山間地に存在する「秘境駅」の雰囲気が溢れていました。鉄道ファンも十分に楽しめる作品に仕上がっています。

配役も、シドニー版のポアロは何処となくコミカルだったんですが、ケネス版ポアロはシリアスなイメージが強くて、ミステリー色が一層際立っていました(口髭のプロテクターには笑ってしまった)。

往年の大女優ローレン・バコールが演じた役をミッシェル・ファイファーが引き継いでいたのも、映画ファンにはたまらないキャスティングでしょう。

また、旧作でショーン・コネリーが演じた役を、アフリカ系の役者さんが引き継いでいたのにも時代の流れを感じました。

後で気がついたのですが、ポアロがトンネルの入り口に容疑者を並べて、推理を述べる場面ですが、あのシーンは「最後の晩餐」をモチーフにしていたんですね。シドニー版では、「12人の陪審員」という言葉をポアロが使っていたと思いますが、それを台詞ではなく、容疑者を横一列に並べることで表したんだなぁと思いました。

今度、シドニー版を再視聴しようと思います。

最後の場面も、往年のクリスティー作品を鑑賞したことのある方には、シリーズ化するのかな?と予想させるようなサービス満点の終わり方でした。
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