鋼鉄隊長

オリエント急行殺人事件の鋼鉄隊長のレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
2.5
TOHOシネマズ梅田にて鑑賞。

【あらすじ】
エルサレムでの仕事を終えた名探偵ポアロは、その帰りに豪華列車オリエント急行の中で乗客の殺人事件に遭遇する…。

「当然ながら物語は面白い。でもそれは小説が面白いのであって、映画の面白さとは違うのではないか…。」
小説原作の映画を観た後によく思うことだが、今回も例に漏れなかった。多少の改変はあるとは言え、幾度か映画化もされた題材を再び取り上げるのに「名優」だけでは足りない。必要なのは、物語を盛り上げる視覚的効果だ。
序盤では視覚的な説明がしっかりとされており、朝食の卵に対するポアロの神経質なこだわりで、彼の「不均等を嫌う性格」を上手く表現している。また、彼の正義に対する熱い思いが伝わるエルサレムでの窃盗事件の推理シーンも素晴らしい。このようにしてポアロの性格を冒頭で示すことにより、物語終盤での正義と悪のアンバランスな関係に悩む彼の葛藤がより良く伝わる。
しかし中盤以降は、物語の展開や心理描写の多くが台詞に委ねられており、ほとんど字幕を読んでいるだけで終わってしまう。容疑者の過去が台詞だけで唐突に示されるのには落胆した。これなら情景を想像しながら楽しめる小説の方が何倍も面白い。
今回の映画はシリーズ化を見据えているようだが、次回こそは「小説とは違う、映画としてのポアロ」を期待する。
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