さて、ストーリー(推理要素)のネタバレを避ける為、基本、1974年版(以下「旧版」と表記)との比較の話が多めになりますw
旧版のエレガントさから見るとだいぶ落ち着いてしまったが、その代わり映像表現はさすが現代映画で景色や建物、列車などとてもダイナミックで綺麗。
尺を二時間以内に収める為、旧版よりもかなりスピーディな展開。
その為、ちょこっとの会話だけで済ませて映像表現を端折ってしまった部分も多く、旧版を観ていないと理解しづらいかもしれない。
ポワロのキャラクター性は旧版の曲者感が薄れ、ヒーローっぽい格好良さもあったりする。(好みが分かれる所?)
今回はちょっとしたアクションもあり、CGを使った派手な演出もある。
そんな感じで、良くも悪くも現代映画の基準に収めてしまったという印象。
ただ、今作ならではのオリジナル展開もあり、結果を知ってる人でも飽きる事なく楽しめるギミックは豊富。
個人的な不満点は、謎解きシーンの舞台。前作と違う場所で各キャラクターのポジションも絵的に弱くなってしまっていると感じた。
個人的に好きなシーンは二つ。
一つ目は、駅構内の様子からポワロが列車に乗り込んで自分の部屋に着くまでの長回し(ワンカット)映像。
駅構内の地形、役者の演技、膨大なエキストラの配置、細かいカメラワーク、その全てが計算され尽くした映像はまさに一つの芸術だろう。
もう一つは、ラストでポワロがとある人物に「ネクタイが曲がっている」と指摘したシーン。よく見るとポワロ自身のネクタイも曲がってるんです。ただ、コレは笑いポイントではなく、それこそがポワロの心情を物語っていてグッとくるものがあるのです。