ナチスの戦犯を祖父に持つ男性とホロコーストの被害者を祖母に持つ女性が、加害者側と被害者側の立場から惹かれ合っていく、ラブコメディである。
少なくとも、予告編を見た限りでは、そんな感じでうまくまとめていたが、実際には、そこからは程遠いような印象を受けた。
まず、登場人物の誰にも感情移入ができない。まともな人物が一人くらいいても良さそうだが、主人公の男性とヒロインの女性はどちらも吐き気を催すようなメンヘラ。そんな二人のやり取りを見ていても、苛立ちが募るばかりか、徒労感が増す一方であった。
そして、肝心なことだが、これを撮った人が何を伝えたかったのかよく分からない。
ホロコーストを題材にしたラブコメディを作りたかったのか?(にしては、笑えない)
それとも、男女のエキセントリックなやりとりを通して、加害者と被害者が寄り添うことの大切さを訴えたかったのか?
何をどうしたいのかをはっきり伝えてくれないと、評価の下しようがないと思った。
どちらかと言えば日本人の評価よりもヨーロッパの人々の評価が気になる。できればドイツ人かユダヤ人がいい、これを観て面白かったとおっしゃる方がいたら、何が面白かったのかお聞きしたいところである。