青いむーみん

ダイ・ビューティフルの青いむーみんのレビュー・感想・評価

ダイ・ビューティフル(2016年製作の映画)
4.0
 初フィリピン映画。ハートストーンに続き、LGBTの皮を被った一人の人間の物語。本当にこれはお芝居なのか?と何度疑問に思ったことか。監督曰く、主人公トリシャのモデルとなる人物はいるそうだが基本的に創作の模様。時間軸がコロコロ変わるので把握しづらい気もするが物語を理解すること、トリシャを理解することに支障はない。彼女の死が映画の中で特別な起伏を産んでいるのではなく、トリシャはこんな人だったというエピソードを各々で思い出しながら話しているような感じで感傷的すぎずコメディ調でもあり、いろいろな感情が生まれる映画になっている。この映画のクオリティたるや物凄いものがある。「フィリピンでこれが撮れるのなら日本でだって」と燃え上がる監督がいることを願う。
 ハートストーン、ムーンライトは所謂オカマではなく自分が何者であるのか全く分からないまま他者と異なると気づいた訳だから仲間はできないが、ダイビューティフルでは仲間がたくさんいる。なのでフィリピンはトランスジェンダーに対しての認識のある人が多いのかと思いきや、カトリックの影響が強い保守的な国でむしろ酷く罵られるのが常のようだ。そんな中で見つけた仲間だからこそ結びつきが強いのだろうか。