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台北ストーリーのparaのレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
3.8
ホウ・シャオシェン監督特集上映。
監督作品以外にホウ監督主演やプロデュース作品も含まれていて、
『風櫃の少年』に続けてこちらを再見。

ネオンや車の流れ、暗い道路の画がとても良いのだが、
特に夜の建物を下から撮す場面が雄弁だ。

八方塞がりで煮詰まっている大人たち。
なんとか現状打破すべくもがくも、もがけばもがくほど沈み込んでいく。
アメリカや日本が憧れの国として語られる中、
アメリカ、結婚、、今の環境を変えることは万能薬ではないと考える男は、後ろを向いて生きていて情に厚いけれど本当に相手のことを見ていない。。
ひょんなことから失業して未来を見失った女は、男との気持ちのすれ違いなどから若者グループに混じって盛り上がるも、若者特有の刹那的空間がかえって虚しさを際立たせてしまう。(🎶フットルースが妙な説得力)
だが、女は思い出や過去の中に生きることを選ばない。

現状に漠然とした不安や未来に希望が見出せていない大人が観るとビター過ぎて、なんともやるせない。
まるで自分ごとのように辛くなる。

ヨーヨー・マのチェロも流れます。(多分、意図的な劇伴はそれだけかも)

原題の青梅竹馬の方がなんかしっくりきます。

本作の4Kデジタルリマスターは、各国の名作のリマスター化に尽力されているマーティン・スコセッシ監督の財団によるものです。日本映画も昨年の『無法松の一生』に続いて今年は『夜叉の池』。スコセッシ監督、有難うございます。

追記
ジャパンライフのナターシャ・キンスキーCMが観られます。
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