革芸之介

台北ストーリーの革芸之介のレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
4.7
冒頭、空き家の室内シーンのショットが全て完璧過ぎて恐ろしい。開いたドア越しの部屋の奥に人物を立たせるショットや洗面所の鏡に映るショットなど構図の威力が強烈。最後の空きオフィスの不気味な感じも凄い。最初と最後の室内の反復。「恐怖分子」の室内シーンも尋常じゃないオーラに満ちていたし、エドワード・ヤンの室内画面表現力は世界最高峰ですね。

登場人物の関係性やコミュニケーションが金銭の貸し借りで成立している所も興味深い。
本作の全体に漂っている「突き放し方」が昭和の日本の青春ドラマの最終回みたいな痛さで号泣。夜の道端に捨てられている「テレビ」が悲しくて泣けてくる。

役者としてのホウ・シャオシェンも素晴らしい。居酒屋でダーツ勝負始めたら急にキレて暴れるし、家の中でドヤ顔キャッチボール。タバコの吸い方もカッコいい。

夜のシーンを描くことにおいてもエドワード・ヤンは凄い。90年代の作品「カップルズ」で描かれていた華やかでオシャレな台北ではなく、本作の台北の夜はネオンが鮮やかでも寂しさに溢れている。
革芸之介

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