Canape

台北ストーリーのCanapeのレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
3.8
幼馴染であり恋人でもあるアジンとアリョンを通して見る変わりゆく台湾の姿。大きな窓の空っぽの部屋で始まり終わる物語。たくさんの夢や希望を抱えているのに大きさが合わなかったり欲しいものが無かったりするみたいにうまくいかない。ディスコで踊る人たちを笑顔で眺めていたのも束の間、無性に言いようのない悲しさと涙がこみあげてくる。朝まで仲間と過ごした誕生日なのに酔いつぶれ眠る仲間の中で一人だけ目が覚めてしまい夢のような時間から一気に明るくなった現実に引き戻される。説明できない瞬間の感覚が切り取られ、ゆらゆらと漂う虚しさ。その中にぽっと灯る赤い電話や洋服や小物や灯りが少しの温かみを感じさせる。無造作に置かれた沢山のサングラス。裸の女の人が横たわった陶器の灰皿。真っすぐな道を行き交うカラフルなトイカーみたいな車。誕生日に揺れる無数のろうそくの灯り。凹凸のあるビルに反射するぐにゃりと歪んで走る車。富士フィルムのネオン管に浮かぶ2人の影。
未来を見る瞳と過去に囚われた瞳。煙草の煙のようにまとわりつき、ふわっと戻る匂いのようにつきまとう憂い。暗闇に溶け込んでそのまま消えてしまいそうな存在。
人生なんてうまくいかない。