あゆぺん

サーミの血のあゆぺんのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
4.0
多様性について考えさせられる1本だった。
監督のアマンダ・シェーネルはサーミ人の血を引いており、父はサーミ人で、母はスウェーデン人。監督は「自分はサーミ人なのにサーミを嫌う者がいます。アイデンティティを変えた者と、留まった者との対立が、私の一族の中にまだあるのです」とインタビューで答えているが、アイデンティティを捨てることへの苦労と葛藤、残されたものの思いがギュッと伝わってきた映画だった。また好奇心と差別は表裏一体なんだと強く実感した。

息子が「クリスティーナ」 と呼びかけるシーンから始まる。この部分だけでこの映画全体の伝えたいことを象徴づけているしよく出来ていると思った。また回想部分は明るく鮮やか、一方現実部分は暗い映像が用いられていて、明らか過ぎるかもしれないがそんな技法も気に入った。北欧特有のねっとりゆったりした感じの映画であったが、美しい自然にはかなり圧倒された。
テーマの展開の仕方、構成、技法、そして美しい大自然といい、スウェーデン好きなのも相まって、お気に入りの映画になった!派手さは無いがかなり深く考えされられる良い作品だった!
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