海老川

サーミの血の海老川のレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
3.4
サーミ人、初めて知りました。
アナ雪のクリストフのモデルの民族って言われてるけどディズニー側が明言してるソースは探してないしそもそもアナ雪観たことないからまあそこは置いといて。

単に差別を取り扱っただけの暗い映画でなく、その民族特有の葛藤がとても分かりやすく描かれてたなと。

例えばこう、何かしらのメディアで黒人差別問題を扱った時に、

「白人様の言う通りこんな虐げられる劣等人種なんかクソじゃ!俺も白人になりてえ〜!」

とか言い出す黒人は絶対に出てこないし実際に存在してもマイノリティ中のマイノリティになるわけですよ。あくまで俺の頭の中でだけど。まあ自虐自嘲とかならあるかもだけど。それは結局、いつかこいつら反抗しかねないと白人が危惧してたくらい、黒人のアイデンティティが強かったってことで。

ただこのサーミ人ってのは長い差別の歴史の中で自分らの民族性に誇りを持てなくなった歴史もあるらしくて(今でも出生を隠す人は多いとか)、主人公はまさにその1人で。
主人公もとにかく自分の身分が嫌になるんですな。私たち一族は劣等だと。で、肌の色とかと違って簡単に正体を隠せるんすな。フラットに扱われる甘い蜜の味を覚えちゃうんすな。
でもやっぱり全員がそうじゃなくて、逃げることも立ち向かうこともできず迫害され続けるサーミ人が大多数を占めるコミュニティでの話なんですな。だから異分子扱いされるんすな。

そう考えると1番同和問題に近いのかもですね。

このサーミ人だけの、サーミ人故の差別が、思考が、分かりやす〜い〜!全員の気持ち分かるってばよってなる。それは役者が実際のサーミ人だからってとこに依る要因がでけえなと。
自分てものを理解してこの映画に出る強さ。作品の価値を何倍にも高めてます。良作。
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