SatoshiIto

サーミの血のSatoshiItoのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
4.5
アマンダ・ケンネル監督『サーミの血』。

北欧における先住民族サーミ人への差別と、それに抗い、近代社会に憧れ、自らの血から自由になろうと行動する少女の姿を描く。

差別され、それから逃れるためにいつしか差別を内面化してしまう主人公。サーミ人とスウェーデン人の親を持つ監督はそういった差別に潜む構造を随所に丁寧に描き込む。差別する者たちの冷酷な視線が、実は我々自身に潜んでいることに気付かされる。

主人公に起用された、サーミ人であり、サーミの習慣の中で暮らしているという少女の表情が素晴らしい。それを映像で見せる監督の手腕には驚くばかりである。

監督のインタビューなどを読むと、続編に意欲的らしく、非常に楽しみである。
SatoshiIto

SatoshiIto