たつかわ

サーミの血のたつかわのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
4.3
ルーツと自由に生きる権利

20世紀初めから第二次大戦ごろまで「優生学」という学問があり、結果的にナチスの大虐殺の遠因の一つに。当時のスウェーデン政府はサーミ人を劣等人種として隔離政策をしていた。劇中では少女をまるで鎖につながれた動物を扱うように対応している人間とそれを観て見ぬふりをする人間も含めて本当にどうしようもない。その後、主人公は頭がよくても都市の学校に通えないことがわかり、差別と戦うのではなく、自由に生きるためにスウェーデン人に仕方なく同化しようと試みる。

監督の父親はサーミ人の父とスウェーデン人の母を持ち、数年前に祖父母やその兄弟姉妹にインタビューを行い、着想を得た。存命している老齢の親類の中には、劇中に出てくる主人公家族と同じような状況で、お互いに話をしないそうです。

本作は主人公がサーミ人だとバレるか?バレないかというちょっとしたスリルがあり、ハラハラした。後半に、画面いっぱい視覚的にスウェーデン人とは明らかに違うとわかるシーンがあり、さらにドキドキ。飽きさせない工夫がある。

おススメです。

※個人的メモ
後半のあることで疑問に思ったことがあったが、スウェーデンは戸籍制度が今もないからお金さえあれば可能と理解した。
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