1930年代、スウェーデン北部に居住する少数民族サーミ族は、差別を受けていた。サーミ語を禁じられた寄宿学校に通うエレ・マリャは、進学を望んだが、教師から「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げられる。ある時、スウェーデン人のふりをして忍び込んだ夏祭りで、エレは少年ニクラスと出会い恋におちる——。
人種、民族、階級、職業、出生地、生まれ年、性別…差異が差別を生み出す。スウェーデンだけではなく、日本も含めて、世界のどの地域でも同じことが起こっている。
本作を観て、日本でまず思いついたのが、アイヌの方々への差別。「同化政策」が進められた過去もあったり、知力が低いという誤った認識もあったりしたそうだ…。劇中のサーミ族と重なる部分が多いことに驚く。
本作の主人公のエレ・マリャは、サーミ族から抜け出そうと、がむしゃらに、もがく。仲間内からは「スウェーデン人かぶれ」と罵られながら…。
想像以上に、辛い映画だった。
万が一、他者を差別しそうになったら、少女時代のエレ・マリャの眼差しを思い出すことにしよう。