差別による悲しみとは、憎い相手の側になりたい屈辱とか、愛しい家族の側を憎まなければならない矛盾のことなんだね。
本当に憎むべきは分け隔てた第三者。
過激な少年たちの立場は読み取りそびれたけど、お前にもサーミの血が流れてるとエレが言っていたことから、被差別側の中でも階級を生む、少年たちもまた被害者なのかもしれない。
ホームパーティーにいた女の子たちもあくまで無邪気で無意識な上から目線が恐ろしかった。
でも一番恐ろしいと感じたのは身体測定中に気まずさから目を逸らすように、出身はどちら？と世間話を始めた女スタッフ。
平和ボケした私がわかるだなんて混合するのは不謹慎なことは承知だけど、
自分の故郷を恥ずかしく思い、でも歳を経てその田舎が晴れ晴れと草木も空もみずみずしく暮らしに愛が溢れていたことに気付くような、というか知っていたことを思い出してやっと受け入れられるような、普遍的な美しさを感じた。それだけの問題じゃないけど。まったくもって違うけど。エレのパーソナルな物語のように描かれてることがこの映画の真摯なところだと思った。
