Hiroki

サーミの血のHirokiのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
3.5
同化政策によって近代文明の教育を受けた子供達。近代文明に同化していくことを強いられながら、一方で文明人と、先住民族の間には知的レベルに差があるとして、下等な存在として扱われる矛盾。自分の民族の文化と、近代文明の狭間にあってアイデンティティをどこに見出すべきなのか。この問題は、ネイティブ・アメリカンやマオリ族、アイヌ、朝鮮人など世界中にあった問題でこの作品が問うてる問題は深い。

こういった問題では大抵、近代文明が統治される側の民族の文化を破壊したとして批判されることが多いが、この作品では、当事者が自分の民族の文化よりも近代文明に同化することを望むという現実を突きつけてくる。

サーミ語で話すことは禁じられ、彼女自身もサーミのことを好ましく思っていない。一方でスウェーデン語では、ネイティブと同じようには喋ることができない。そんな彼女は非常に口数が少ない。だからこそ、映像で心情を描写していて映画的だった。
Hiroki

Hiroki