サーミの血の作品情報・感想・評価

「サーミの血」に投稿された感想・評価

いにょ

いにょの感想・評価

3.9
2017年105本目。

サーミ人というのは、スカンジナビア北部に住む遊牧少数民族。彼らの住まう土地はラップランド(辺境の地)という蔑称で呼ばれ、ラップ人とも呼ばれる彼らは差別の対象となっている。

主人公のエレ・マリャはそんなラップ人としての出自を呪い、そこから逃がれようと足掻き、身近な人たちを傷付けてしまう。

高福祉国家で幸福度ランキングでも上位に入るスカンジナビア半島の国々にこんな根強い差別があるとは知らず、それを知るだけでも価値のある映画。

人の弱さの悲しさよ。
majiri

majiriの感想・評価

5.0
帰属するはずの社会からはぐれた人間。他者の文化に土足で介入する人間。それが映画になることで知らぬことを知るのもまた人間。
nmoon

nmoonの感想・評価

5.0
スウェーデンのラップランドに暮らすサーミ人の少女。
彼女が少女時代を過ごした1930年代は、サーミ人であるが故の差別や不条理な扱いがある時代だった。
今まで使ってきた言語が取り上げられ、あなた達の脳は文明に対応できないと言われ進学も拒まれてしまいます。
血統により自由に生きる事を阻まれた少女は自身がサーミ人である事を隠し生きる事を選ぶのでした。

しかし、民族衣装を脱ぎ捨てスウェーデン人の世界に入っても、自分自身がサーミ人である現実に何度も直面していきます。

人権が尊重され選択する自由がある現代でも、自分の居場所や生き方を見つける事の難しさは誰しも感じた事のあるものだと思うのだけど、人権が尊重されない時代を生きたサーミ人の少女が自分の意思で自由を手にしようとする姿に胸が苦しくなりました。

今のように生きられる時代になったのは少女のような人がいて時代を切り開いてくれたからこそ。
自分の知らない事をこうして映画を通して感じる事が出来て良かったです。

ストーリー自体はとても悲しい内容ですが、ラップランドの美しい景色やサーミ人の民族衣装の美しさ、彼らの自然と共に暮らす姿が印象深く、監督自身がサーミの血を引いているとの事で、作品からサーミ人としての誇りを感じる作品でもあるように感じました。
absslg

absslgの感想・評価

4.3
写真を撮ることは被写体を殺すことでもある⋯
kae

kaeの感想・評価

3.5
厳かな自然と鮮やかな色の民族衣装のコントラストが印象的。
ときおり出てくるシンメトリーな構図にも、ぐっと引き込まれた。

意図せず生まれた境遇、手放すのはこんなに大変なのかと。
Uzurakoh

Uzurakohの感想・評価

4.0
血統に基づく生物学を唱えた学者よ、これを観よ。何が学問だ。馬鹿やろ。感想文にも満たない独り言にも満たない。そんな垣根を乗り越えていくから、生きてる苦しみと美しさがある。その体力と向う見ずさは、観た後に爽涼さが残る。
UPLINK吉祥寺で鑑賞。
ラップランドについては名前を含めて地理的なことは知っていたが、そこに住む先住民族サーミ人に関しては本作を観るまで何も知らなかった。
サーミ人のヒロイン、エレ・マリャが妹ニェンナの死去によって、現代から少女だった1930年代を振り返る形で物語が展開していく。
そこで描かれるのは、不当で不条理なサーミ人に対する偏見と差別。
当時、支配者側のスウェーデン人から劣等民族としてサーミ人が扱われていた実態が映画の前半から随所に登場する。
日本の先住民族というとアイヌの人々が思い浮かぶが、彼らとの接触の機会が殆どないので個人的な実感は薄いが、未だに人生の節目、就職や結婚、更には出産において偏見や差別があるとのこと。
現代においてでさえ偏見や差別が残っているのに、作品の主な舞台となっている1930年代なら尚更、露骨に行われていたのだと思う。
そんな社会から色眼鏡で見られ、枷を掛けられた多感で聡明なヒロインは、その状況を打破しようと画策し、思い切った行動を起こしていく。
だが、その行動は自らの民族や生まれ育った故郷を否定することに繋がっている。
映画冒頭での年老いたヒロインの頑な言動の背景が、物語の進行と共にはっきりと見えてくる。
「血につながるふるさと、心につながるふるさと、言葉につながるふるさと」を否定しなければ生きたいように生きられない理不尽、それでも敢えて立ち向かったヒロインの凛とした姿と、心に抱えていた呵責と悲しみが最後にスクリーンから溢れてきて余韻を残します。
ま

まの感想・評価

4.0
この映画を見なければ北欧にサーミという民族がいること、かつて迫害されていたことも知らなかった。
違いはただの違いで差別すべきものじゃない、美しいものは美しいと認めたいと思った。
集団の中で馴染めない、奇異の目で見られる描写はリアルすぎて見ていられなくてお腹がもぞもぞした。
一人の女の子がどうにかこうにか不器用に、生きようともがいている姿に心打たれた。生きていくって難しいなあ
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