サーミの血の作品情報・感想・評価

「サーミの血」に投稿された感想・評価

skk

skkの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

北欧への(ありがちな)憧れを満足させてくれることに期待してみた映画ではないですが、想像以上に容赦なくてシリアスな映画でした
気分はやや落ち込みますが、映画として見る価値は大きいと思います

サーミ人であるせいでマジョリティから疎外され、そこから抜け出そうとしても、事あるごとに自分の出自からは逃れられず…という主人公の踠きが、あまりにどうにもならなくて見ていてかなりキツイです

サーミ人としての伝統を守ることにした妹の亡骸に対して、サーミを捨てた主人公は許してほしいと独白しますが、では果たして主人公の選択は間違いだったか?というと決してそうではないでしょうね
疎外されずに生きていくために出自の匂いを抹消せざるを得ない劇中の社会情勢を考えると、主人公のあの発言は、外に出て行く選択をとったことの悲惨だけど必然の帰結なのかもしれません…

主人公がウプサラに出てって新しい世界を見て触って、五感で感じる中盤の描写がとても美しくて非常に心に残りました
モモ

モモの感想・評価

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見てたわ
esew

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3.0
2019.12/05

スカッとわかるわけではないし泣けるわけでもないし怒りに震えることができるわけでもないけど、見た後久しぶりにすごーく考えさせられたのでどう考えてもいい映画。2019年に1本だけ見るならコレをすすめる。


先住民族は彼らの伝統の中で生きるように近代化された都市から遠ざけるべきなのか、それとも教育を受けさせて近代社会でも生きれるようにすべきなのか。


舞台となる1930年代のスウェーデンで、差別(ハッキリと劣等民族とみなし、人間的な扱いをせずただの調査対象とする)が国家的に行われていたことを示しているんだけど、それ以上に仮にこれが国家的な差別政策じゃなかったとして近代社会と伝統的社会の狭間でどうサーミの人たちを捉えればいいのか難しい。


ラップランドのような極度に天候や自然環境の厳しい地域(ふつうに考えて生物にとってストレスフルで生存するのにあまりにも過酷な環境)で教育を受けさせ職業選択の自由が広がれば都市生活の利便性ゆえに伝統地域を捨てる人が増え伝統はいずれ消え去るか残るにしても衰退するだろうし、伝統地域に閉じ込めれば教育を受ける機会や様々な選択の自由を奪うことになる。いや彼らに選ばせればいいという安易なスタンスだと、他の地域と違ってラップランドぐらい環境が過酷だとおそらく統計的にほとんどが近代化してしまいそうである。


主人公のエレマリャの、他の子供より賢く強かったがゆえに知性と自由とバイタリティを持って単独で近代社会にチャレンジしてしまった不運というか苦難は不公平だしこの年の子供に生活費と学費、生活基盤の全てを工面させ奔走させた社会の全てがあまりにも残酷にうつる。


調査目的での身体検査で全生徒の前で裸になれと告げられた時、ニクラスの家で追い払われる時なんでもするからメイドとして雇ってくれと同年代の男に嘆願する時、ニクラスの誕生日で衆人を前にヨイクを歌えと見せ物として急かされる時、どれほど屈辱的であったか。ニクラスの家に単身押しかけて両親に泊めてもらう時どれほどやましく心細かっただろうか。


老齢になっても最後まで幸せにはなれてないし、サーミにもなれず、スェーデン人にもなれず、サーミの文化を受け入れず、スウェーデン人として自分の出自を隠して生きている。所在がなさすぎる。ラスト、バイクやバギーの並ぶトナカイの皮製テント群が伝統と自由を分けて生きることの難しさ、そもそも分けるべきなのかどうかすらを問うてくる。


でもね、エレマリャはサーミの血を捨てたわけじゃない、あの口紅の女の子がマーキングナイフをからかった時に見せた行動はサーミとしての誇りだろう。そしてあのスウェーデン人の子がエレマリャからのそうした反抗を受けた後でも友人として接してグループに受け入れたこともとても素晴らしいことだったんじゃないか。エレマリャはサーミを受け入れていないし、好いてもいない。それでもサーミとしてのアイデンティティを失ったわけじゃないんじゃないか、そしてそういう複雑で定まらない人間でも他の人間がそのまま受け入れることもできるんじゃないかと日本人の自分は少しの希望を見た。


幸せとは、満たされることだけではないというのをちょっと思い出す。全ての幸福を疑似体験できて、それが疑似体験でなく完全な現実だと認識させる機械を人間が作り出しても、多くの人はその機械につながれて一生を過ごすことを望まないんじゃないかと米国の哲学者ウォルツァーが言ってたけど、自分が選択したなら自分自身の人生を送るために苦難を体験していくことさえも幸福の一部なんじゃないだろうか。エレマリャはまだ最後にたどり着いていないだけでこの物語には続きがあるんじゃないか。息子と孫が呼びに来た時エレマリャは一緒に行こうとしてたし、サーミの地に残った妹の亡骸に謝ってもいた。映画は終わってもエレマリャの物語は終わってないんじゃないかと、そう思った。レビュー長ぁー、たぶん自分史上最長笑

どーでもいいことも言わせて、エレマリャ、めっちゃズングリムックリな体型なのにスラっと背の高い先生のワンピース盗んでも着られへんし、列車のおばさんからパクった服も絶対着られへんやろ!どこで超高速サイズお直ししてんねん、めっちゃ手先器用かっ!!監督、そのへんのディティールも凝ってくれ!
nana

nanaの感想・評価

3.4

あの夏の夜
私は変わった

「あなた達の脳は文明に対応出来ない」

ラップランド、サーミ人。
平均身長は男性で152センチ。
北欧〜ロシアの少数民族。

体格は大きく描かれていますが、アナ雪のクリストフもサーミ人がモデル。

彼らには近隣諸国から侵略を繰り返されてきた悲しい歴史がある。
宗教の改宗、法外な税金の徴収など。

今作はスウェーデン北部でトナカイの飼育を生業とするサーミ人の少女、エレ·マリャが人生に抗うストーリー。

支配勢力のスウェーデン人によって「劣等民族」とされ、サーミ語を禁じられる環境で寄宿学校に通学するエレ。
テントで生活し、お風呂は湖の水。

成績も良く、トナカイを飼育する生活から抜け出したいと進学を望むが、
「あなた達の脳は文明に対応出来ない」
と教師に蹴られてしまう。

頭が良く上昇志向が強い。
憤りを感じるが自らの力ではどうにもならない。
そんな時、サーミを偽り出逢った少年に恋をする。

強い眼差しの少女エレ。
恋をした少年もまだ学生だが、ここにしか希望の糸を見いだせないのは、あまりにも狭い世界で生きて来た証だろう。

この人しか…
自分を全てから救い出してくれる筈。
いや、そうなってもらわなければ困る、
この時のエレには一生をかけた嘘だったのだろう。
恋をした、それだけでは無かったと思う。
過酷な突きつけられた人生を、必死で変えようとする悲しさ。
狡猾ですらある。

名前を変え嘘をつき…。
まだ稚さの残る少女が体を張り、なんとかスウェーデン人になりきろうとする姿は切なすぎる。

少年の立場になれば悪い女に引っかかったようなものだけれど。

愛情と計算の恋愛か、夢を見ずにはいられなかった少女なのか?
どちらもあったような気がする。

ラップランド
この作品を鑑賞するまで知らなかった。
北欧で今だ続く人種差別。
サーミの唄、ヨイクは暗く悲しい響き。

サーミ人の監督が制作し、
主人公もサーミ人の少女が演じている。

北欧の自然が美しい。
現代的なスウェーデンの住宅と、サーミ人が暮らすテントの対比がこの実情を物語っている。


※世界的に有名なヨーロッパの童話に出てくる、原作では悪者の小人。
そちらのモデルとの説も。
riyonya

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3.5
スウェーデンのラップランドに住むラップ人の差別の歴史。スウェーデン人の生活を羨む姉と姉を慕いながら最後まで伝統を守った妹。姉妹を背景に、姉の旅立ちを描く。

「ニルスの不思議な旅」で名前だけは親しみのあるラップランドに住む人たちのこと何も知らなかったことを知った。
日本でのアイヌ、オーストラリアでのアボリジニを連想した。

利発で鋭い瞳の少女が、理不尽極まりない扱いを受ける姿は、過去の物語ではなく、そのことに気づいていない今の物語かもしれないと思わせる。

とてもオーソドックスな作りなのだけど、
過ぎ去った時間の切なさと、美しいラップランドの緑が心に残る。
わに

わにの感想・評価

3.0
アナ雪2との関連で話題になっていたので。重たい。あまりに重たすぎる。。。

世界中には自分の知識の及ばない差別が数えきれないほどあるんでしょう。

終始、きれいな自然が目に飛び込んでくるからこそ、差別がすごく重たくのしかかってくる。

人類学を専攻してる学生に差別を受けるシーンとか見てられないよ…
アリサ

アリサの感想・評価

3.5
差別から抜け出して幸せになる方法って、、、
ぴゃ

ぴゃの感想・評価

4.5

北欧先住民族サーミ人の少女が
スウェーデンの地で生きることを選択するが
さまざまなカルチャーギャップに直面していく物語。


主人公の少女 エレ・マリャは
サーミ人の長く閉塞的な歴史をまさしく「体現」している。
短い手足や爪。特徴的な顔の形。
わざわざ誤解のある言い方をすれば非常に
人間の「原始的な姿」に見える。
それだけサーミの歴史を大切に守ってきた混血度の低い遺伝子が彼女の体を形作っているということだろう。

その特徴的な姿だけでも十分に「人類史的な価値がある」ように思える。。。
などと感じてしまった。

僕は鑑賞中、サーミ人を見世物扱いしていたということだ。
劇中のスウェーデン人たちと同じ視点で彼女を見ていた。

サーミ人は閉塞的な民族ゆえに
世間を知らない。イコール、学力が無いように感じられる。
そして低い身長とボテっとした体躯。
すっかり文明化したスウェーデン人たちの目に
エレ・マリャは
「劣等民族」に映る。

僕もはっきりとそう思ってしまったのだ。

経済的に影響力があるわけではない。
彼らの文化が僕らの生活に影響を与えるわけではない。

そういった理由で、
サーミ人の人間としての価値を見切っている自分がいたのだ。

もしもサーミ人が自らの価値を世界に向けて声高に発信していなければ
世界は、僕は、今でも彼らを差別し続けていたかもしれない。

人種間・ジェンダー間などなど
世界にはびこるあらゆる差別意識を覆すには
当事者が「うるさく」発信し続けなくちゃいけない。
そんな厳しい現実を発見した。
ノ

ノの感想・評価

2.4
老女が耳のあたりを触るような仕草をしていて「変わった芝居だなあ」と思いながら観ていたんだけど、過去パートに飛んで「ナルホド、、」というやつね。

主役の顔に寄るショットが多いだけに、あの件の後は、どっちの横顔かっていうのに振り回されてる感じあるねえ。

霧の中の鹿。

ウプサラってベルイマンの映画に出てきた街だ。
can

canの感想・評価

3.0
普通に生きてたらサーミ人という人たちを知らなかったので知るきっかけになってよかった。
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