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エヴァのkonomoのレビュー・感想・評価

エヴァ(2016年製作の映画)
3.4
東京国際映画祭にて。
1972年のイスラエルが舞台。イスラエルで生まれ育った主人公の妻はポーランド人のホロコーストの生き残り。ある日、妻が別のアパートに男を囲っていることが判明し、夫は(当然)動揺するのだが、男は実は強制収容所で生き別れ、死んだと思われていた妻の元夫だった…という話。
イスラエルでは普通にあるケースで、元になったシナリオの作者の家族がモデルらしい。

全然関係ないのだが、震災時を思い出した。家族は被災地で苦労してるのに、自分は普通に東京で暮らしてて、凄い罪悪感とか断絶とかを感じた時のことを(しばらく現地に行くすべも無く)。大事な家族が味わったつらい体験を自分はしていなくて、していないから本当には理解できないことに疎外感を持って。

それで、主人公の夫が、酷い経験をした妻とその元夫に感じる距離感を色々想像しながら観た。当然の嫉妬、悲しみと、到底分かってあげられない気がする諦観と(娘の台詞でも「お母さんが収容所にいた頃お父さんはバイクで遊んでた」とあった)。
でも双方で思いやり合って、前を向くしかないんだよな…。

無論、作った方は、日本人の一観客が震災を思い出すなんて思いも寄らないだろうし。
映画は作られたあとは観客のものなのさ、なーんて思った。

光のとても綺麗な撮影で、救いのひとつになっていた。
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