たかた

ハローグッバイのたかたのレビュー・感想・評価

ハローグッバイ(2016年製作の映画)
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とっても良かった。

印象的な所は何点かある。
まずは物語の中で重要な位置を占める長い階段のショット。ここから何かが始まると言わんばかりに何度も同じ位置からショットを重ねる。水平線上には何もないかのような、都心の中でこの場所だけは特別なんだと、さも錯覚してしまいそうな刷り込みが、スチール写真のあのシーンで爆発してしまう。
次に花壇を映す場面。理科室の天井が手鏡の反射光に照らされるわけもなく、花壇の前で茫然と立ち尽くす萩原みのりを見て、冒頭のシーンでのガラスに映る久保田紗友の悲しそうな佇まいが思い出される。
最後に久保田紗友が萩原みのりを説得する場面。ピロティ空間を捉えたカメラの中心に、吸い寄せられるかのように収まる久保田紗友の背中。すごく力のあるカットだった。

今作品はスクリーンの外側で起こるような事柄を丁寧に描写しているような印象を受けた。三宅唱監督といい、こういった監督にはどんなテーマでもいいからとにかく作品を量産してもらいたいものだ。
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