ミシンそば

立ち去った女のミシンそばのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
4.4
2021年ランタイム2時間50分越えの映画を観ること、実に24本。
総合ランタイム、約95時間。

その企画のラストを飾ったのは、長回し多様のモノクロ映画。
且つ、初鑑賞となるフィリピン映画でもある。
ヴェネチア映画祭を制した作品だけあり、完成度の高さは言うに及ばず。
そして、比べることは間違っていると分かっていても、長回し、映画のランタイムとは斯くあるべしと言う思い込みに物申すがごとき長尺は、かの「サタンタンゴ」を嫌でも思い出させる。

どっちが優れている、とかは正直言ってない。
でも、ラヴ・ディアスが全くタル・ベーラを意識していないとは思えない。
自分の中で、本当に救世主が現れたサタンタンゴとも解釈できなくない。
ホラシアにそんな気はほとんどなかったんだと思うが、最後まで観ると本当に終始そうでなかったのか?
そう勘繰らずにはいられない。
敵討ちから失踪したはずの長男の話に最終的に回帰するのも、ある意味ではタンゴ。
だからこそ、点数はサタンタンゴと全く同じ。
疲れたが、なかなか得がたい体験だった。
この映画もそうだが、今年出会った23本にも。感謝を。