まさなつ

立ち去った女のまさなつのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
4.2
スターウォーズを横目に、フィリピンのおばちゃんに逢いに、いそいそと、、。

それも4時間弱!時に間近で、時に寄り添い、時に遠目に、ずっと彼女を見続ける。相棒であり恋人であり母親として。
でも、たったの4時間弱。彼女が元彼にはめられて、無実の罪で刑務所にいた30年間からすれば、、。

冤罪がはれて出所した彼女の心の闇は想像を絶するだろう。夫は死に、息子は行方不明。元彼は幸せそうに生きている。
それでも、日々の生活で出会う、いわゆる社会的弱者たちとの触れ合いの中で、彼女が本来持つ聖母のような優しい心がゆっくりと溢れ出す、、。

貧困、格差、暴力、誘拐、、フィリピンの今を、音楽もカット割りも照明すらも足さずに、静かにそれでいて熱く描く。

モノクロで夜間が多いこともあってか、南の国のはずなのに暑さは感じず、むしろ画面が北欧映画のようにキーンと冷えて感じる。その寒々しい闇の中にも微かに光はさす。凄い映画だった!

ラヴ・ディアス、、いい名前だねぇ〜。惚れ惚れする!
まさなつ

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