ドント

立ち去った女のドントのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
3.8
2016年。なんというか、なんと言えばよいのかこの映画は……どうしましょう……。97年のフィリピンを舞台に、30年の獄中生活を送っていたが冤罪が晴れ出獄、自分を陥れ家族を離散させた男への復讐を狙う中年女性の物語。228分。
長回しや構図の凝り方、陰影などで何人かの監督の名前が思い浮かぶが、全編の映像に漂うのは無情感、湿った重さ。涙が出そうになる清らかな場面がいくつもあり、宗教的トーンも持ち合せながら、どこかしら諦めと苦しみがまとわりつく。ショットが格好つきすぎてないあたりもそれを支えている。幸せなくらいキマってたらこの物語は描けないだろう。
復讐に燃える女がマイノリティたちと関わり、限りない情を注ぐという矛と盾のぶつかり合いで起きる様々なことが、長尺をかけてそれはもうゆったりと、もったりと、観る者にじっくり刷り込んでいくように語られていく。それにしても長い。しかしこの長さにはやはり意味がある。でもやっぱ長い。魂を持っていかれる映画ではなく、削られていく映画だ。