Risa

立ち去った女のRisaのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
4.6
長いので、観るタイミングは慎重に選んだものの、最初と最後の30分程度を除けばあっという間に感じたのは、、他の人のレビューを覗くと、少数派なのかもしれない、、

心地の良い大きな雑音、長回し、シンプルでありながら人との関わりに重きを置いた内容は 分かりやすく暖かいもの。
何とも見心地が良いものでした。

質の悪い映画は90分でも速攻で飽きますし、良い作品で、映画館だろうと眠くなるものもあります。
この228分は程よく心地良い時間になりました。

30年冤罪で刑務所に入っていた女の話です。30年月日が経ち、諦められる事と整理のつかないこととの苦悩が描かれております。
貧富の差から生まれる問題とは計り知れないと思いました。
お金の為に殺人を請け負う一般女性、お手伝いさんという職業は割と定番の職業であったり、誘拐事件が多発、つまりはレイプや人身売買、奴隷の様な扱いを受ける人が多く存在するのかなと、陰を感じさせます。

シンプルなストーリーで 途中から話は読めるものの、とても味わい深いものです。
そもそも 味わい深いものというのは 地味なものですから。

さて、立ち去った女の葛藤は 思わぬ方向へと向かいます。

最後の長回しを見ていると、理性を持って健常に生きることについて、何故生きているのか、生きる意味とは何なのか、色々考えを巡らせなければいけなくなるのです。

細かな心理描写というよりも、心の奥には寄り添わずに 全体を見ながら感じていけるんです。
だからこそ、疲れずに見れるんです。押し付けの無い自然さがあります。
これが、徹底的に感情を訴えかける系だと 私は苦手ですぐに疲れて目を逸らして閉じぬ耳まで閉じてしまうんです。

下手な馴れ合いでは無い 人々の寄り添いが見れます。
感情というのは、単純なものではないです。とても複雑で、単純に訴えかけたところで伝わるものではありませんから。

元恋人が仕組む 冤罪事件。
土地持ちでお金を沢山持っているものの、何か欠けてます。豊かさとはお金では無いことが描かれています。
お金持ちは 命を狙われる可能性の高い国であったりもするのです。
お金持ちの家の隣に今にも崩れそうな小屋暮らしの人々が暮らし、卵売りが出歩くんです。

神父に明かす心根が正にその事を物語ってます。

内容以上のものが 感じられます、、
Risa

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