Omizu

立ち去った女のOmizuのレビュー・感想・評価

立ち去った女(2016年製作の映画)
5.0
あっという間の四時間だった。苦しみも優しさも全て含めて人生であり、安定を求めるほどに崩れ、死にたいと思うときほど生きる理由が見つかってしまう。

ほとんど固定カメラの長回しからなり、効果音もない。白黒で刑務所や貧困層の風景を写しているのになんだこの美しさは。そして画面から滲み出してくるこの哀しさはなんだ。

画面に映る全ての人やものは美しく、哀しい。

復讐という目的を掲げながら無関係の貧困層の人々に施しを与えるホラシア。その姿はまるで聖母マリアの如くである。しかし彼女は聖人か?

それは違う。そもそもの目的は復讐であるし、時には暴力をふるい汚い言葉で罵る。でもそれが人間じゃないのか。

全てを手に入れることができないのが人間ではないのか。
Omizu

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