肥満児フィン

ディザスター・アーティストの肥満児フィンのレビュー・感想・評価

3.8
あの不朽の迷作「ザ・ルーム」でお馴染みのトミー・ウィゾーの自伝を読み感銘を受けたジェームズ・フランコが、自分で監督・主演を務め作り上げた異色の伝記映画。
先ずここまで完璧にトミー・ウィゾーを演じ切ったジェームズ・フランコがすごすぎるし、これを作ろうとしたのも凄い。もう冗談抜きで観ている間トミー・ウィゾーにしか見えなかった。
グレッグ役はめちゃくちゃジェームズ・フランコに似てると思ったら、まさかの弟。
他の登場人物も決して顔が似ているわけでは無いのに、めちゃくちゃ忠実に動きや配置を再現していて、如何に本気で取り組んだかが分かる。

未だに素性がわからないトミー・ウィゾーという人物が既に恐ろしいが、そんな彼に着いていったマーク役のグレッグも中々恐い。しかもこれが全部実話っていう凄さ。一応当方は役者を目指している身で、思い悩む前に実行に移すところとか、役者になる上で恥を捨てる姿勢とかは確かに見習うべきなんだけど、観た人には分かると思うが肝心の「ザ・ルーム」の出来が余りにも酷いのと、トミー・ウィゾーの純粋さ(?)が故に撮影現場が破茶滅茶なあの場面を考えると、ウィゾー本人への理解はやはり難しかった。
寧ろ、アホなのか分からんが良いやつ過ぎて、終始可哀想なグレッグには共感しかなかった。
他にもネットミームと化した「You're tearing me apart Lisa!」の元ネタがやはりジェームズ・ディーンだった所とか、ブライアン・クランストンが本人役で登場したりとか、なんだったらトミー・ウィゾー本人も登場したりとか、色々楽しい発見や要素も盛り沢山。
周りからの批判を気にせず自分を信じて貫いてきたトミー・ウィゾー。今作を観れば、「ザ・ルーム」に込められた想いを、再発見できる...かも?