ニトー

ライフのニトーのネタバレレビュー・内容・結末

ライフ(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

書置きしておいたのを投下

映画冒頭の長いワンショットでISS(国際宇宙ステーション)の内部が映し出され、その狭苦しく息苦しい空間で何かが起きることを暗示させながら一人一人をカメラに映し出します。ドントブリーズでも同じような手法が使われていましたが、閉塞空間を間を置くことなくアナログに映し出すということはホラーではかなり効果的なのでしょう。そして物語は生命体を持ってきた無人探査機「ピルグリム」を回収するところから始まり、ISS内のラボで調査を開始します。調査を初めて最初の数日はクルーたちの関係性や抱えているものが描き出されます。しかし右手を握りつぶされるところの描写は中々エグいです。骨折の痛みを知る人間からすると、あれはキツいです。そこから成長した生命体がラボを抜け出し・・・という感じで展開そのものにはラストを除いてこれといった新鮮味があるというわけではないです。が、ISSという実際にある場所、それも極度に限定された無重力空間という現実にある非日常的空間は、やはり真っ暗で広い劇場で体感するのが一番でしょう。まースターとはい一番最初の犠牲者であるライアン・レイノルズがパンフやポスターのメインを務めるのは詐欺な気もしますが・・・そういう瑣末な部分は置いておいて、わたしがこの作品で気に入った点は「現実的と地続きにある得体の知れない恐怖」を生命体の造形で見せてくれた部分でしょうか。話の構造なんかはまんま「エイリアン」そのものなんですが、「エイリアン」がエイリアンという生命体・造形として完成された生物によってなすすべなく人間が殺されていくのに対し、「ライフ」ではあくまで地に足付いたデザインの生物が襲ってくるところでしょう。アメーバのヒトデのような、半透明で葉脈のようなものが浮きだったデザインは生理的な気持ち悪さを際立たせます。この恐怖感は、「エイリアン」や「遊星からの物体」のようなものではなく、むしろ「ミクロの決死圏」などの自分の体の一部などの「細胞」そのものに脅かされる恐怖に近いと思います。現に、劇中の生命体はあくまで単細胞生物であることが強調されていますし、作り手もある程度意図しているのではないかと。まったく違うものではなく、一定の近似を見せているからこそのおぞましさ。それでいてエイリアンのように明確に顔や手といったものがないため、そういったもの以上に理解ができないためエイリアンよりも怖い。ただし、得体の知れないなにかであるのは中盤までで、成長を続ける中で明確に顔が形成されてしまうんですよねぇ・・・これははっきりって失敗だったと思います。デザインそのものは好きなんですけど、顔を作ってしまってはもはやそこからなにかを読み取れてしまうんですよね。それすらできない単純な細胞生物だからこその恐怖だったはずなのに。単細胞生物でありながらーというのを狙ったのかもしれませんが、だったらなおさら顔とかいらないと思うんですよねぇ。ここはちょっと残念なポイントでした。あと生命体視点のあれとかいらないかなーやっぱり。まあ気になった点はその程度で、あとは全部大好きですね。
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