ひさかた

THE BATMAN-ザ・バットマンーのひさかたのレビュー・感想・評価

3.7
両親が殺されてから、生きた心地はしていない。両親の遺した空を突き刺すようなタワーでひとり、この街をひたすら見続けた。
幸せな家庭。楽しげに話す人々。
それ以上に蔓延る、闇の中に潜む悪。ゴッサムシティという街に深く深く根付いている。ここでは、法律も警察も悪の駆除薬にはなり得ない。それほどまでに、この街は闇に染まっている。
この悪を根こそぎ洗い流してくれる雨はいつ降るのだろう。

ある時から、復讐のことだけを考えるようになった。それ以外のことを考えても、この街はどうにもならない。
影になることで、目に見える悪を排除する。象徴となることで、次の被害の抑止へと繋げる。

今日も、善も悪も区別がつかないような光のない街に、悠然とコウモリのマークが浮かんでいる。

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テーマは「復讐」と「新シリーズのための再構築」です。
伝説的な『ダークナイト』のあとにメガホンを取ったという時点で個人的には拍手を送りたいマット・リーヴス監督の趣味を全開にしつつ、新たなバットマンシリーズをスタートさせるための基盤となる作品です。

個人的には、恵まれた予算と材料でこうなったのね〜という思いが強め。

より大衆的になった、と言いたかったのですがそれにしては長尺すぎかも。
アクションはかっこいいです!カーアクションもあり。
あんなにかっこいいスーツやギミックが完成したらそりゃアクション見せたいですよ!誰だってそうだ!

ミステリーオタク的に気になったのは、むしろ謎解き要素。「探偵バットマン」なんて言うくらいだから期待しちゃうよ!?と思って臨んだのですが、謎解きとは?というくらいあっさり終えてしまうのがもったいない。

あと、監督の趣味が全開すぎる。いや別にいいんですけどね。映画音響で聴くニルヴァーナはまた格別ですが。それが果たして良い効果を生み出してるのかは正直微妙。なんでこの作品で、『タクシー・ドライバー』なのよ…と言いたくはなります。バットマンというよりブルースは、トラヴィスとは違います。むしろ、ジョーカーが近いのに。なぜ。ここは最後まで理解できませんでした。

と、いろいろ思うところはあれどまあまあ楽しめました。
思うところは別でブログに書こうかなと思います…。
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