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THE BATMAN-ザ・バットマンーのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

5.0
ハロウィーン。ブルース・ウェイン/バットマン(ロバート・パティンソン)は、いつものように街で犯罪が起こっていないか監視をしていた。
選挙戦を控えるゴッサム・シティの市長ドン・ミッチェルが妻と息子の外出を見送って自宅で一人で寛いでいると、背後から緑のマスクを被った男に襲われる。
その後、ジェームズ・ゴードン警部補(ジェフリー・ライト)は、上司のピート・サベージ本部長と共に犯行現場の調査をしていた。
そこで事件に協力しているバットマンは、リドラー(ポール・ダノ)を名乗る犯人からの手紙をゴードンから受けとる。
内容はなぞなぞとなっていたが、バットマンはすぐに答えを解き、一緒に入っていた謎の暗号の書かれた紙を見ようとするがサベージ本部長に捜査の邪魔者として追い出されてしまう。
だが、バットマンの目に装着していたコンタクトレンズ型カメラに記録していたことで、暗号の解読をウェイン邸の地下のバッドケイブで執事のアルフレッド・ペニーワース(アンティ・サーキス)と共に開始する。
暗号の答えがdriveであったことを発見すると、ゴードンと共にミッチェルの所有する車のガレージを捜査し、そこにあった一台の車に事件で使われた鈍器とUSBが見つかり、その内容はミッチェルが謎の女性を侍らせサベージ本部長、マフィアのボスのカーマイン・ファルコーネ(ジョン・タトゥーロ)の右腕ペンギン(コリン・ファレル)と会っている写真があった。
さらに、コルソン検事も殺害され、ゴッサムのセレブを震撼させる。
リドラーは犯行の際に必ずなぞなぞを残し、警察や探偵のブルースを挑発。
リドラーが、暴こうとしているのがかつてゴッサムを牛耳っていたマフィアのマローニ・ファミリーを潰した内通者とブルースの父トーマスがゴッサム再建のために掲げたゴッサム再開発基金の秘められた謎と闇。
やがて政府の陰謀とブルースにまつわる過去の悪事や父親の罪が暴かれ、ブルースやゴッサム警察を翻弄していく。
ブルースは、ファルコーネの周辺を調査する中で、ペンギンが経営するナイトクラブ・アイスバーグ・クラブでクラブに潜り込みファルコーネを探る謎の女セリーナ・カイル(ゾーイ・クラヴィッツ)と出会う。
セリーナは、行方不明になっているクラブでホステスをしていた親友アニカを探していた。
ブルースは、セリーナやゴードン警部補とゴッサムの闇に踏み込んでいく。

2016年、ベン・アフレックは、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に引き続き、DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)を舞台にした新しいバットマン映画の監督、製作、共同脚本、主演を務めることが決まっていたが、2017年1月に脚本と監督を降りた。
マット・リーヴスが監督と共同脚本を担当し、若き日のバットマンに焦点を当て、探偵としての側面を強調したストーリーに作り変えた。
ベン・アフレックは2019年1月にプロジェクトを離脱し、同年5月にロバート・パティンソンが代わりにキャスティングされた。
本作はDCEUとのつながりがなくなり、DCフィルムズ・マルチバース内の「アース-2」が舞台となった。

今回は、今まで語られなかったバットマンが自警団ヒーローとして活躍し始めて2年目の荒削りで犯罪者に対する剥き出しの復讐心を抱えている未熟な危うい姿を、ゴッサム・シティの裏に隠された警察と検事局とマフィアの繋がりをゴッサムのセレブ連続殺人事件により暴こうとする知能犯リドラーやゴッサム・シティを牛耳るマフィアやゴッサムを蝕む腐敗とバットマンが戦う中で描き、ブルースの父トーマスの秘密が暴かれていく展開が、リドラーが仕掛けた連続殺人事件を捜査していく「タクシードライバー」「グッドフェローズ」などの70年代ハードボイルド・サスペンスミステリーの世界観で描かれてるのが、めちゃくちゃ渋い。
両親を殺害した犯罪者に対する剥き出しの復讐心と殺意を自警団活動で解消しているバットマン/ブルース・ウェインが、セリーナとゴッサム・シティの裏に隠された闇に踏み込む中で、格差や腐敗が放置されている現実をを知り、犯罪から命を守るダークヒーローに覚醒していく葛藤がサイコサスペンスのスタイルで丁寧に描かれてるのが、ブルース・ウェインを演じるロバート・パティンソンの演技もあり、バットマンの中の闇やトラウマをネチっこく描かれているのがクリストファー・ノーラン監督版バットマン・シリーズに匹敵する骨太な内容に惹きつけられる。
ブルースとセリーナの対照的な2人のつかず離れずの相棒関係と恋、ゴツゴツした感じのバットマンのバイオレンスアクションやスリリングなカーチェイス、ポストトゥルースとSNSを武器に扇動するトランプ大統領支持派QアノンのようなSNSで恐怖を煽ってテロを企むリドラーのサイコさの不気味さも、ブルースとリドラーの同じ孤児でありながらコインの裏表の紙一重な敵対関係も、リアルな新たな傑作バットマン映画に仕上がっている。
「俺は復讐だ」

櫻井孝宏、ファイルーズあい、石田彰などの名声優揃いふみの吹き替え版が、個人的におすすめです。
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