きょんちゃみ

THE BATMAN-ザ・バットマンーのきょんちゃみのレビュー・感想・評価

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【善と正義とを区別して何が嬉しいのか】

「野間(易通)は、リベラリズムの政治哲学者であるジョン・ロールズの『公正としての正義』に準拠しながら、善と正義を区別する。善とは、人によって異なる価値観であり、人はどう生きるべきかに関するイメージ(構想)である。これに対して正義とは、各人なりの善の追求が他者を侵害しない形で行われるための公正さのルールである。この区別から野間は、ある重要な帰結を引き出す。世間ではふつう、正義をもとめる人々は善良であり、不正義を行う人々は悪辣であると思われている。これに対して野間は、正義と善を切り離すことによって、正義を求めて行動する素行の悪い人々(差別団体に罵声とともに襲いかかり世間の平穏を乱す人々)の位置に立とうとする。それによって野間が対抗するのは、ヘイトスピーチを行う悪辣で不正な差別団体だけでなく、善良で礼儀正しいように見えながら構造的な少数者や弱者を平然と踏みにじる人々である。」

(高橋若木著「非当事者による反差別:「ポリティカル・コレクトネス」から考える」、『ひとおもい』創刊号所収、2019年、p36より引用)

→「悪辣なる正義」と「善良なる不正義」という概念が創れる。
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