旅するランナー

汚れたミルク/あるセールスマンの告発の旅するランナーのレビュー・感想・評価

3.5
【虎だ! お前は虎になるのだ!】

パキスタンのセールスマン、アヤンさん。
転職先のグローバル企業ネスレ社のボスが彼に言う。
お前は虎になるのだ!
病院関係者に金品をバラまけ!
ネスレ社の粉ミルクを採用させろ!
他社を食い殺せ!
ガルゥゥゥゥゥ!

営業成績トップを疾走する、アヤンさん。
ところが、自分が販売した粉ミルクによって、幼い命が奪われていることを知る。
オー、マイ、ゴッドゥゥゥ!

俺は何てことをしていたんだ!
医者たちに賄賂を渡して、グルゥゥになって、子供たちを危険に晒していたのか...
神よ! 我を赦したまえ!
ってことで、正義のために立ち上がる、アヤンさん。
さあ、どうなるゥゥゥ...

この作品のひねりが効いているところは、この問題のドキュメンタリー映画を撮るために、主人公へのインタビュー形式で進んでいくところでしょう。
アヤンさんの人間性、事象の信憑性に疑問を投げかけながら進んでいきます。
この構成は面白いと思います。

でもですね。
この問題の原因が、粉ミルク自体ではなく、それを薄めるための汚れた不衛生な水にあること。
主人公が隠していたある行動。
どうしてもこの2点が、腑に落ちないんです。
ルール無用の悪党に正義のパンチをぶちかますわけでもない。
そのために、作品自体が、牙を抜かれた虎程度の迫力になってしまいます。


@神戸市民映画劇場2月例会