ハレルヤ

汚れたミルク/あるセールスマンの告発のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.8
1994年のパキスタン。大手企業ラスタのセールスマンとして働くアヤンは、国内の薬品を売る日々を送っていた。しかしある日水道が整備されていない地域で不衛生な水を使用した粉ミルクが原因で乳児が多く死亡している事実を知る。それは自分が売ったもの。責任を感じたアヤンはこの事実を知りながら販売を続けているラスタを告発する実話に基づいた社会派ドラマ。

自身の生活のために懸命に売り込みをしてきたアヤン。前半は彼のビジネスマンや家庭人として順調な生活を描いたもの。しかし中盤から想像出来ない悲劇が進行していた事を知る。

貧しい地域での粉ミルクを使用した乳児の死亡事例が激増。水道も通っていなくて汚れた水でのミルク。貧しいが故に適量での使用が出来てない。それで次々と命を落とす子供たち。ショックで放心状態になるアヤンの姿に苦しみが伝わってきました。

この事実を知りながらも販売を促進し続けるラスタの方針に怒りを覚えたアヤンは、会社を辞めて告発しようとする。しかし相手は大企業。様々な手を使って妨害してくる。やがては家族への脅迫までされて、心折れそうになるも告発を止めない。

販売先がどんな地域だろうと売ってナンボの姿勢の大企業。その醜悪な一面を垣間見た気になりましたし、賄賂や癒着が当たり前のように行われている実態もよく分かります。

ラストもスッキリとした形では終わらず、複雑な心境で見終わりますがこれも現実。映画自体も1時間半という短さに無駄なく内容が詰められていて、見やすさも凄く感じました。
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