第一次世界大戦の引き金となった「サラエヴォ事件」から100年の記念式典のために準備する「ホテル·ヨーロッパ」が舞台
その舞台のあちこちに登場する複数の人物たちが複雑に絡み合って成される群像劇
そして歴史はついに繰り返されてしまう
各々のストーリーのピークを迎えてホテルでは一発の銃声が鳴り響く
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100年前の暗殺者はセルビアの国家主義的テロリストだったのか
それともオーストリア=ハンガリー帝国からの民族解放のために闘った英雄だったのか
1990年代の民族浄化の名の元で行われたボスニア内戦を体験した監督が伝えたかったのは恐らく
時代背景によってコロコロ変わるその評価の馬鹿馬鹿しさと
100年もの歳月が経っても未だ続いているその議論の不毛さであろう
「理想と夢に燃えていた子供よ」
劇中の女性ジャーナリストの口を借りて監督は言っているのかもしれない
テロリストでも英雄でもないのだと
そして甚だしい口論を交わすも次第に惹かれ合って行く
クロアチア系らしい女性ジャーナリストとセルビア系暗殺者の子孫に映る男性を通して伝えているのかもしれない
サラエヴォには多民族が共存して歴史と文化を共有してきたのだと
P.s.
http://www.bitters.co.jp/tanovic/
旧ユーゴスラヴィア時代という意味で
大好きなEmir Kusturica監督のUndergroundが想起される
Undergroundが巨視的な作品だとすれば
本作は登場人物に根差した微視的な作品かもしれない
170406 @ 新宿シネマカリテ 21本/37本