Ryoko

サラエヴォの銃声のRyokoのレビュー・感想・評価

サラエヴォの銃声(2016年製作の映画)
3.7
サラエボの老舗ホテルが舞台。広く明るく趣を感じるロビーとは対照的に、湿っぽく照明が最小限に抑えられた暗い従業員スペースが印象的。
ストを巡り対立する従業員と経営陣、この地で長年続いてきた民族間の紛争についてのインタビュー番組を撮影するテレビクルーたち。彼らの様子を同時進行で描いた映画。
サラエボ事件で殺害されたオーストリア皇太子は犠牲者か占領者か。殺害した青年・プリンツィプはテロリストか英雄か。ボスニアヘルツェゴビナは複数の民族が争い続けてきた歴史はあるが、そのため思考が画一化されず常に二つ以上の見方が存在するという、ある意味ポジティブな考え方を提示してきた部分が興味深かった。立場が変われば見方も変わるのはごく当たり前なんだけど、それが流血を招くような事態に発展するのが世の常で。。
サラエボを舞台にした映画はおそらく初めて見た。「スレブレニツァの虐殺」など初めて聞く事件もあって勉強になった。
長年、異なる民族同士が憎しみあい殺しあった歴史は重い。舞台となっている老舗ホテルもそこに生きる人々も、紛争後の「疲れ」と戦いながらなんとか生きようとしているように見える。後半までストーリーに起伏はなし。しかし、ボスニアに生きる人たちから見たサラエボ事件、さらにはEUまで、ヨーロッパをいつもとは違った角度から眺められる一作。