ちろる

わたしたちのちろるのレビュー・感想・評価

わたしたち(2016年製作の映画)
4.1
瑞々しくて残酷。
そんな少女だけの世界にとことん入り込ませてくれるカメラワークにまんまとハマり、いつのまにか私も小学校四年生の女の子に戻っている気分にされられた韓国版是枝作品といった印象。
ミサンガ。
きゅうりの海苔巻き。
色鉛筆。
お花で染めた爪。
ソンとジアの2人の絆が縮んだり、伸び切ったり、千切れそうになったりするのをそわそわしながらもこれらの印象的なアイテムが効果的に響いて繊細な2人の心の動きをみせてくれている。
それにして韓国映画に出てくる子役ってなんでいつも素晴らしいんだろう。
主人公のソンちゃんの絶妙な表現の演技がとても良いし、弟の自然すぎる演技も微笑ましくてあどけない彼のちょっとした言動がソンの未来を救う感じもちょっとじわっとくる。
このくらい年代頃の女の子のいじめってたしかにこういうぞわぞわ感があるんだろうな?
ちょっとしたきっかけでいじめターゲットは変わるし、いじめも大袈裟なものがないから、大人に言いつけるわけでも不登校になるほどでもない。
いじめられたら、楽しくない毎日をただただなんとかやり過ごさなければいけない残酷な子どもだけの社会。
それがとてもリアルだし、いじめに対する問題提起でもなくてそれがとても良かった。
途中、若干中弛みかなと思った印象も、オープニングとリンクするエンディングシーンで帳消しです!
この監督は小学生の女の子なの?と思うくらいきれいごとではない、繊細な少女たちの世界が見事に表現していて、じわじわと心に染み入ってくる素敵な作品。
出来ればこのくらいの子どもがいる親にも沢山見てほしい!上演館が少ないのが悔やまれる作品でした。
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