青いむーみん

わたしたちの青いむーみんのレビュー・感想・評価

わたしたち(2016年製作の映画)
3.8
 ユン・ガウン監督が是枝裕和大好きとは知っていたけど、作品を観てもそれは伝わってきた。子供たちの世界をどこまでもリアルに忠実に描こうとする姿勢も映画を観れば伝わる。大人になっても人間関係は難しい。その問題に初めて直面した少女の物語。最後の展開もリアルにこだわっていて、万事解決しました!とならないながらも心地よく映画館を後にできるくらいの塩梅でうまかった。

 韓国映画といえばオーディションのイメージだが、今作もご多分に漏れずオーディションを5次選考までやって決まったようだ。そしてそのキャスティングの妙ときたら凄い。みんながみんなそこら辺の小学生にしか見えない。スクリーン上に彼彼女らが芸能人であるということが一切存在しない演出、演技、にも関わらず素人感を漂わせない自然さ。韓国は俳優に苦労しないなと改めて思った。
 「子役は台本なし」ユン監督が好きな是枝裕和がよく使う手法だが今作でもその手法が使われていてその効果がはっきりと表れている。台詞に縛られない演出は舞台のように時間がかかったらしいがそれは価値アリと言っていいだろう。

 ラストの展開への伏線はしっかり敷かれており、意外な人物の特別素晴らしい台詞で映画は収束へと向かう。この台詞は覚えておくべきだろう。何歳だとしても今後生きていく上で参考になることは間違いない。