小麦番長

わたしたちの小麦番長のネタバレレビュー・内容・結末

わたしたち(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

【 叩き返してたら、いつ遊ぶの?】

“ イジメあるある” を、残酷さ残忍さを前に出さず少女たちの視点を丁寧に描写した秀作。

“ イジメあるある” ‥‥
ターゲットの居ない場所でターゲットに関するある事ない事、とにかく何でも吹聴し、同調させる。
ターゲットに加担する奴は、次はお前がターゲットになるからな、と暗黙の圧力を与える。
とかね。
( 因みにいい歳した大人のオトコでも、妬みの感情からこーゆー女々しい事をする奴は存在します。(−_−#) しかし周りは大人なので、結局ソイツが孤立する結果になるんですけどね ψ(`∇´)ψ )

それはさて置き‥‥
あの小道具(マニキュア)の使い方とか!!!

ジアと一緒に塗ったホウセンカのマニキュアは、爪が伸びてきて、ジアとの関係が薄くなるのと同じようにどんどん短くなってゆく。

いじめっ子ボアのターゲットがジアに移り、ボアから貰った水色のマニキュアを上から塗ってみるものの、ホウセンカの赤と混じって微妙な感じ。
ジアともボアとも仲良くも敵にもなれない。中途半端なソンの状況そのもの。

まだ少し、ほんのちょこっとだけホウセンカの赤が残ってる。
ジアとの繋がりは断たれた訳ではない‥‥ ?のかも‥‥ ??

相変わらず(いや、韓国映画、と言う大きな括りで ^^; )登場人物の描写に無駄がない。
イジメっ子ボアにしたって、あそこまで悔しがるのはもしかしたら彼女は彼女で抑圧された家庭環境なのかもしれない。と想像させられたり。(いやだからと言ってイジメは許されないけど^^; )
とか、
お爺ちゃんが亡くなり、父を失った父親の姿を見たソンも、彼女なりに父親から“何か” を感じ取り、成長の兆しを感じさせたり。
そして大いなる母の愛と言ったら!!
父親の収入が厳しくなり自分の仕事の負担が大きくなっても子供たちに当たる事もない。
子供の友達の親にもご近所さんにもとにかく愛想良くうまくやり過ごす。
ソンの社交性の無さ・不器用さは父親譲りなんでしょうね ^^;

お父さんもお母さんもソンも、色々抱えて大変な状況の中、ここにきて弟くんの幼いゆえの無邪気さがね、コリャあ残酷だ〜〜
自分だったら堪らん!!
と少しイライラしていたら‥‥

執拗に怪我をさせてくる弟の遊び仲間にはやり返さないといけない!と説くソンに対し、弟クンの、
『 叩かれたら叩き返してたら、いつ遊ぶの?』
の台詞。
それまでこの弟クンにイライラしてただけにね、
『 そうきたかーーーー!!!』
カウンターパンチくらいましたよ(笑)
ココで一気に加点 ^^;

復讐してても、時間のムダだよ?楽しまなきゃ
と。

是枝監督に影響を受けたという本作の監督さん。
唸ってしまうほど素晴らしい子役たちの演技は、なるほど確かに『そして父になる』の子役たちの自然な演技を思い出す。


最後に‥‥
“ いつ遊ぶの?” の考え方も解るけど、ワタシは
【 ちゃんと遊ぶけど、叩かれたら叩き返すよ!!】
精神でゆこうと思います ψ(`∇´)ψ
小麦番長

小麦番長