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わたしたちのhirogonのレビュー・感想・評価

わたしたち(2016年製作の映画)
3.9
小学4年生のイ・ソンが経験する”子ども達の世界のイジメと友人関係”を描いた映画。と聞くと重そうですが実際重い!

ドッジボールのシーンが象徴的に何度も出てきます。私も小学生の頃はよくやりましたが、今の小学生もやるのでしょうか?
私の世代では、ドッジボールのうまい人ってヒーローみたいな感じでしたねえ。私はヘタなので逃げ回っていましたが(笑)
この遊びはグループ分けの段階から、上手い・下手、好き・嫌い、などのグループ内での立ち位置が出てしまう面があるので象徴的に使われているようです。

主人公は、クラスでボラ達からの”イジメ”にあっている小学4年生の女の子イ・ソン。
終業式後に転校手続きに来たハン・ジアと出会い、休み期間中に仲良くなります。ソンにとっては、友達も少なく、ジアへの想いも特別なもだったのだろうと感じます。
でも、休み期間中に塾に通うジアは、同じ塾に通うボラと仲良くなり、休み明けのソンとの仲は微妙な状態になります。
以降、ソンとジアとボラ達も巻き込んで、お互いへの中傷がエスカレートしていきます。この辺は見ていて辛い。

ソン、ジアの表情の演技が素晴らしい!演技とは思えないような微妙な表情を見せてくれます。
また、ソンの弟ユンが、めちゃくちゃ可愛い!これも演技とは思えないレベル。
カメラはソンに寄り添い、ソンとジアの微妙な表情や彼女たちの周辺で起きる出来事を追っていく。

レビューを読んでいると、女子特有の友人関係についてコメントされている内容も多いようですし、男子とはまた違った交友関係の難しさはあるのかな?でも、イジメモードに入ってしまうと、女子も男子もそう差は無くなってくるようにも思います。
ユンは、友達にケガをさせられても、”友達と遊びたい”と言い張ります。ソンはユンに「叩かれたら、叩き返せ」と言うのだが、「それだと、遊びたいのに遊べなくなる」とユンが答えます。ジアと報復合戦のような様相になっているソンとっては、考えさせられるやり取りです。

小学、中学、高校、、、とそれぞれの世代で”イジメ”は存在しますが、大人になるに従って、理性によるブレーキも働き、自分の世界も広がることで、いざという場合の逃げ場も出来てきます。
それに比べると、小さい時ほど逃げ場がなく、精神的に追い詰められやすいのでは?と感じます。また、子供って他人の痛みに対する共感力がまだ低いので、酷いことをしていても、それ程酷いことをしているという罪悪感が少なく、ブレーキが効かなくなる場合もあるような気がします。
本作の内容も、すごくリアルなお話なんだろうと思うのですが、友人関係やイジメに対しては、色んな要素が絡むので、”こう対応すればOK!”という処方箋はありません。各々のケースで対処方法を探っていくしかないのですが、最も有効な手段は、”相手の気持ちに対する想像力”の育成だと思います。本作が、その一助になればと願う。

ラストは、ソンとジアの関係改善を予感させるシーンで終わる。二人とも、辛い経験を経て成長したのですね。