純

わたしたちの純のレビュー・感想・評価

わたしたち(2016年製作の映画)
4.5
小さいころ、孤独とは「残りものにされること」でした。繊細だから誰にも選ばれないくらいで泣くんだねなんて言わないで。そんな顔、あなたには似合わないと知ってほしいからきれいな鏡を贈ります。聖母のほほえみも美しい歌声も、どうしてこんなに無力なんだろう。意地悪なあの子と同じリボンの結び方ができなくちゃ、あなたは安全ではないのですね。

子どものときの世界は、学校がすべて作り上げていた。正しさと思っていたものは、悪い宗教のような縄できみを締めつけていたのに、その痛みに耐えないと、きみはいつまでも残りもので、誰にも拾われない落し物だと思い込んでいた。みんな、悪い夢ですよ。ひとりひとりが個性を伸ばし合うための場所で、「みんな」という言葉からはみ出したら生命線が断たれるなんて、一体なんて名前の詐欺なのかな。

本当は、わたしだけがわたしの心を見つめていられれば大丈夫ですと言えるようになるはずだったのかもしれないね。友達ができないというただそれだけで、不幸になる必要はないと身体のどこかは知っていて、いつも心をなだめていた。それでも絆に憧れてしまうのは、わたしたちに血が通っていることの証明になるのではないですか。誰かを抱きしめられる体温があるから、繊細さゆえに泣いてしまいます。

戻りたい、と縋る気持ちが悲しかった。約束を破られたことが裏切りに見えたのは、確かに信じる気持ちがあったからだと、どうか思い出してあげてほしい。新しい約束をしようよ。戻れはしないけど、わたしたちの世界ならまた作ればいい。不恰好かもしれなくても、うつくしいホウセンカ色の爪で繋がっていよう。時間をかけて、大切に与え合ったふたりの色。呼んでいる声がするね。

尖った気持ちに棘を向けていたら、傷つけ合うだけで終わってしまうんだなあ。かさぶたになってあげなくちゃ。僕は友達を叩きたいんじゃなくて遊びたいんだという弟の言葉が、何よりも広くてやさしかった。寂しいや痛いを知っているもの同士だからこそ感じる視線があること。寄り添ってほしいのがいつなのか、ふたりはきっと知っている。持っているものや失ったものは違うけど、それを大切な時間を否定する理由にしないでほしいな。もう一度素直になれるよ。わたしたちなら。わたしたちだから。