わたしたちの作品情報・感想・評価 - 4ページ目

わたしたち2016年製作の映画)

우리들/The World of Us

上映日:2017年09月23日

製作国:

上映時間:94分

4.1

あらすじ

小学校4年生の少女ソンはいつもひとりぼっち。終業式の日に偶然出会った転校生のジアと友情を築いていくが、新学期になるとその関係に変化が訪れる。さらに、共働きの両親を持つソンと、裕福だが問題を抱えるジアの、互いの家庭環境の違いも二人の友情に小さな暗い影を落とす。そんなある日、ソンは勇気を振り絞ってジアとの関係を回復しようとするが、些細なことからジアの秘密をばらしてしまう……。

「わたしたち」に投稿された感想・評価

きえ

きえの感想・評価

4.4
またまた傑作と呼べる韓国映画に出会った。とは言うもののいわゆるエロさグロさ満載の韓国映画とは違い、繊細な心の動きを丁寧に追った小学生少女2人の物語だ。

イジメをテーマに展開される仲間外れのソンと転校生のジアを軸にした女の子を取り巻く世界は、男性にとっては理解出来ない生態であるに違いないけど、女性にとってはイジメる、られるの経験有り無しに関わらず、このヒリヒリとした空気は誰しも心当たりのあるものだと思う。

韓国社会を色濃く反映した学校社会は、経済格差や複雑化多様化する家庭環境からなるスクールカーストに支配されている。その中で2人の友情は集団の力学に見事に翻弄されて行く。裏切ったり裏切られたり…この時期の女の子にとって集団の力学に逆らう事など容易ではない。袋小路な少女の心の葛藤は痛い程で子供社会の残酷さをヒシヒシと感じる。

この作品は映画を見ると言うよりその場に自分もいる様な感覚になる。まるで透明人間になって少女の側にいる様な。それは冒頭からの少女の表情の変化、つまり心の変化が手に取るように分かるカメラアングルにある。そのオープニングからこの作品が傑作である事を揺るぎなく確信させた。表情は台詞以上に語る。不安感、疎外感、孤独感、気まずさ、攻撃性…カメラはその瞬間を逃さない。これ程までに心情にフォーカスし、尚且つそれが言い方悪いけど”面白い”作品はそうはない。

そして、カメラはただ少女に寄り添うのだ。答えを誘導するでも手を差し伸べるでも慰めるでもなく…。小さな体を震わせながら何度も何度も友情を結び直そうと試みる少女の葛藤を辛抱強く見守るカメラの目線は、”木の上に立って見守る”と書いて”親”となる漢字の様に、時に辛く切なく苦しいけれど、その先にきっと自ら答えを見出す子供の力を信じているかの如く毅然としている。

『子供には困難を乗り越える勇気がある、転んで傷付いてももう一度ぶつかる勇気がある』… ユン・ガウン監督自身の体験が元になって作られた本作で伝えたかった事をこのように仰っていた。更には幼少期から映画好きだったユン監督は映画から多くを学んだと言う。様々な勇気を貰ったと言う。だからそんな映画を作りたかったと仰る通り、葛藤の末のラストはこれまた素晴らしい表情描写で終わる。2人の距離感、互いをチラ見する心理、そこに感じ取るもの、そこから無言のまま心理的距離がじわっじわっと近付いて行こうとする感じ… カメラは最後までそっとそこにいる。勇気を持って乗り越えたその瞬間を待っていたかのように…

イジメをテーマにした作品と言うとついイジメは悪い、ダメだと言う視点に答えが向かいがちになるけど、この作品は声高らかにそれを訴える作り込みにはなっていない。私自身がイジメられた経験がないから言えるのかもしれないけど、私がこの作品に共感したのは乗り越えようとする力を暖かく見守った作りになっているからだ。イジメる側、イジメられる側、リーダー格の子供、それぞれに抱えてるものがあって、それぞれに自己防衛から生まれる攻撃性と残酷さを持っていて、互いに傷付け合ってしまう子供社会の現実がある一方、自己修復能力を持つのも子供自身である事を改めて思わせてくれた。

勿論、自己修復には個人差があるし、イジメの内容と程度による事は付け加えさせて下さい。

社会問題を映画にするのが本当に上手いなと思う韓国映画だけど、もう一つ毎度思うのは子役のレベルの高さ。今回はオーディションで選んだ演技経験のない子供達だと言う。台本は渡さず、シーンごとに役柄の感情を語り合いながら構築していったその成果は見事なリアリティとしてスクリーンに映し出されていた。中でも触れずにはいられないのが、ソンの弟を演じた子役の存在。まだ3、4才の男の子なのだけどとにかく癒される。あの愛くるしさは演技以前のものだ。そしてその幼き弟が放つシンプルな言葉がソンの心に勇気を与えるきっかけとなるくだりがとても好きだ。物事はいつも本当はとてもシンプルなのかもしれない。見て良かった。心からそう思う。そして多くの人に見て貰いたい。

最後にトリビア的ではあるけど…

実は韓国には元々イジメを表す単語がなかったそうだ。これはとても意外だった。だから日本語の”イジメ”がそのまま使われていたそうなのだけど、約20年くらい前から学校などで頻繁にイジメが起こるようになり”ワンタ”と言う新語が出来たとの事。時代が生んだ単語ならばいつの日か死語になって欲しいですね。
norisuke

norisukeの感想・評価

4.5
ソンは一人ぼっちで闘っている。誰にも言えない哀しみと。泣きたい気持ちを必死で堪えて闘っている。

大人はなんて無力なのだろう。子どものことを気にかけているつもりでも、子どもを哀しみから救えない。

どこにでもあるようなひそやかないじめ。大人になっても、職場などでよくある。加害者と被害者の関係性は曖昧で、何かの弾みで立場が逆転したりする。無意識のうちに加害者になってしまうこともある。人間ってとてもめんどくさい。そんな人間のめんどくささをとてもリアルに描いている。

いじめられても、できることならば気づかぬふりして、凛としていたい。それでも人から嫌われるのはやっぱりとても辛い。ソンもジアも一人で辛い気持ちに耐えている。とても健気で胸が苦しかった。

手作りのブレスレット
お母さんが作る海苔巻き
ほうせんかの花で染める爪
ファーバーカステルの色鉛筆
象徴的なアイテムを用いて、繊細な心の動きを描写する。そして主人公のまだ幼い弟にさらっと深い言葉を語らせる。そんな技巧が全くわざとらしくなく、とても自然で好きだ。

イ・チャンドンの名前に惹かれて観たかった作品。期待を裏切らず、見逃さずによかったと心から思う。子どもたちがとても魅力的だった。
ricestar

ricestarの感想・評価

3.8
台風の中の韓国映画祭り〜
2本目

いろんな方のレビューを見て、
予習完璧で鑑賞✨

娘を持つ親としては、辛い部分もあってー
胸が熱くなるシーンも

弟ほんまに凄いやん✨

年頃の女の子達って、大変やね
毎日頑張ってるだね〜

男で良かった😅
SatokoKUZU

SatokoKUZUの感想・評価

4.2
女の子2人の目の表情が素晴らしかった。すごい映画。
stroke75

stroke75の感想・評価

4.2
いじめられる側といじめる側が些細なことで入れ替わるところとか、生活水準の違いとか、親と子の関わりとか、先生の何気ない残酷な一言(普段生徒一人一人のこと見きれていない)とか、いわゆるスクールカースト問題とか、なんかすごい映画を観てしまった。
あの主役の姉弟演技が自然過ぎて驚異的。(監督の手腕?)
ラストのあの気付きの瞬間!
ファーストカットから子どもの表情まで一切見逃せないですスゴイ。そんな些細なことで、って無責任に大人はいうけど子どもにとっては自分のいる世界が闇に覆われるくらい重くのしかかるし、複雑な気持ちの揺らぎや友だちとの距離感を終始子ども目線で描かれてるのが良かった。ツラいけど。残酷な世界を経てみんな大人になったんやなあ。そして行き着く先も地獄、、
悲しいシーンで泣くことはないけど、幸せなシーンは泣けちゃう。だって、そんな幸せが続くわけないって、見てればすぐわかるから。ポスターになっていた、ベランダに2人並んで座るシーンはもう、涙が止まらなかった。
女性の意見が知りたいと思ったけど、Marrisonさんの投稿を見てよくわかりました。そうだよね。男って、いくつになってもいろいろ美化しがち。
westtribe

westtribeの感想・評価

3.8
韓国映画。
小学生の友情やいじめを描いた物語。側から見ればせま〜い世界だけど、彼女らにとっては世界の全てなわけで。『The World of Us』という英題がぴったりかと。

90分あまりの映画なのに、すごく長く感じた。冗長なのではなく、ひとつひとつのエピソードが刺さりすぎて、見ていて胸が痛くて。
暴力的ないじめではなく、「仲間はずれ」ベースなのだけど、身に覚えのあるザラッとした、冷たくて湿り気のある空気感が怖いぐらい伝わってきた。
心がひりひりした。仲が良いからこそ、関係が壊れてしまったとき、直すのもまた難しい。ソンの気持ちも、ジアの気持ちも分かるから、本当に歯がゆくて、切なくて、苦しい。弟のユンがさり気なく(あからさまに)深いことを教えてくれる。

風が吹くような、終わり方も好き!
奇跡的な顔(表情)の連発で天才かよ!
最初の表情すごかったなー
是枝監督を凌ぐ子供の自然な感じに凄みを感じた。
ポスターにもなってるベランダのシーンとその後のベランダのシーン、海、小道具の使い方どれも上手いなーいいなー
ラストの切れ味も好みでした。
愛子さま似の彼女もよかった!
それにしても女のいじめはたちが悪い…