フランコ

苦い銭のフランコのレビュー・感想・評価

苦い銭(2016年製作の映画)
4.2
相変わらずカメラが環境に溶け込んでいて、超越者の眼差しを体験しているかのよう。かと思いきや、人びとがカメラ(ワン・ビン)に話しかけてくる場面もちらほらあり、中でもリンリン(DV夫の妻)が夜道の中で振り向き、「来て」といざなう瞬間はハっとせずにはいられない(結局は夫婦げんかの場面に連れて行かれるのだが)。

ドキュメンタリーでありながら、人びとの移ろいを捉えた絶妙な編集でドラマ溢れる群像劇になっている。いちいち構図とか明暗が神懸かっているし、次から次へと何かしら画面で面白いことが起きていて、3時間あっという間だった。社員寮出たとこのトタン屋根が夜のシーンばっかで色がわからなかったのが、昼のシーンになって青だとわかり、画面の半分近くを強固に青で埋めたのとかもシビれた。

2018/2/10 イメージフォーラム
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