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苦い銭のnagashingのレビュー・感想・評価

苦い銭(2016年製作の映画)
3.5
被写体の強烈すぎる個性や無駄にクールな構図と照明が、ドキュメンタリーの硬派な側面をほとんど吹き飛ばしてしまうほど印象的。とくに、シリアスな夫婦げんかの仲裁をしながらだらしない腹を披露するおっさんと、半裸のぶよぶよな身体からは思いもよらぬ躍動的なミシンさばきを見せてくるおっさん、そして裁ちばさみを鞄に出し入れしながら人妻をたぶん本人的には口説いているのであろう酔っぱらいのおっさんがヤバい。『美味しんぼ』の三銃士ネタでクソコラつくれそうだな〜、とか思いながら観てました。逆光で人物のシルエットだけが黒く浮かび上がるフルショットも、とくに意味のないかっこよさで笑う。そしてきわめつけは、電球色の灯が濡れた路面に照り返し、ゴミだらけの街をオレンジ色に妖しく彩る、あのサイバーパンク感!
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