ノラネコの呑んで観るシネマ

ザーヤンデルードの夜のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ザーヤンデルードの夜(2016年製作の映画)
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大学教授の父と看護師の娘を軸に、イスラム革命の前・中・後を描く。
元々1990年に100分の作品として作られるも、当局の検閲によって37分カット。
その後上映禁止されネガが没収されたが、数年前に63分の版がイラン国外に持ち出された幻の映画。
大幅にぶった切られた上に、一部シーンでは音声まで消されていて、これはもう元々意図された映画とは言えないので、スコアは付けられない。
本作の辿った長いストーリーを含めて、1つの表現と捉えるべきだろう。
マフマフバルは、イスラム革命を挟んだ14年間でのイラン民衆の変化を見て、文化と政治と人々を描く作品として本作を企画。
監督はイランの人々に、自らを映し出す鏡を作ったそうだが、鏡に映った自分の姿を国家は気に入らず、破壊してしまったと言う訳だ。
独裁と検閲の恐ろしさを、リアルに実感させられると言う意味で貴重な作品。
タイトルのザーヤンデルード川に架かる、独特の構造を持つ橋が象徴的に使われていて、面白い効果を出している。
全長版が観たかった。