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サファリのtoyocaのレビュー・感想・評価

サファリ(2016年製作の映画)
3.8
たまたまだけど、また銃に関する映画を観賞。こういうのって、続く方がより深まるのでよいね。

「トロフィーハンティング」と呼ばれる、食べる為のハントではなく、ただただ娯楽の為のハンティングを追った、ドキュメンタリー。絶滅危惧、毛皮反対、動物愛護が叫ばれているこの時代に、どんな貴族だよと。しかし、アフリカが観光資源として誘致しているから合法だと、ふんぞり返る金持ち達。

「年老いた動物を狙ってるから」「苦しまずに死なせてるからむしろ親切」「普通の観光客よりお金落としてるから」

発言が、すべて安っぽい。グダグタと自分を正当化するクソみたいな発言をするけど、何も響かない。ただただ、金持ちの悪趣味な道楽。そして、対比するように映される、現地民の無表情でハントされた残り物の肉をしがむ姿。生きるために働き、食べる、それだけ。

ハントしているのが白人だけというのが、なんとなく悪意ある撮り方だとは感じたし、こう感じて欲しいという誘導の意図が感じられたので、安易な感想はやめた方がいい印象。しかし、その意図にハマってしまったせいか、黒人差別を描いた『ゲットアウト』を思い出してしまった。「肌の色で差別なんてしてない、現地の人はみんな優しい」という白人夫婦の発言は、上から目線。金持ちはハントし、現地民は皮を剥ぎ、解体する汚れ作業。見下しに気付いてないようにも思えた。

キリン二頭のうち、一頭を殺して、「もう一頭がこっちを見てるわ」と言いながら、獲物をもてあそび、写真におさめる夫婦。前日に観た『静かなる叫び』の、銃乱射事件と何も違わないと感じた。欲望のままに、撃ちたいから撃つ。普通に生活していて、突然殺される。夫が突然銃殺されたらどう感じるんだろうと思ってしまった。

結構ハードな解体シーンが出てくるので、血や臓物が苦手な方は要注意。
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