やかじょ

ザ・ティーチャーのやかじょのレビュー・感想・評価

ザ・ティーチャー(2016年製作の映画)
3.4
東京国際映画祭にて。
私の中の今年のトレンド、チェコ映画。
1980年代の共産主義下での小学校。
共産党員の先生は生徒の親の職業を利用し、何かと自分の都合を押し付ける。
その要望に応えられるかが生徒の成績に繋がっていると抗議をした親とそれ以外の親同士の話し合いがメインの群像心理劇。
雰囲気的には(どちらかと言えばチェチェンを題材にしてる方)の12人の怒れる男に似ている気がする。
恐怖のメカニズムを描きたかったと言っていた通り、大部分はシリアスなんだけど、ところどころにクスッと笑えるような場面もあった。
複数の親の視点から描かれているんだけど、最後次々と部屋に入ってきた人たちの心変わりの理由が観たかったな、というのが本音かな。

上映後のQ&Aで脚本家の親世代の実話を元にしていると言っていた。
当時はもちろんこういう映画が作られることは無理だったし、逆に自由化した90年代以降は誰もこういった抑圧の時代を思い出したりしたくなかった、だからこうして今撮られるべき映画だ、という話が興味深かった。そしてちょうど私くらいの世代の若者は過去に何があったかも知らないし、親世代も子供に自分の口から伝えたりもしないとも。

遠い国の過去の話、と思って観ているとこういう出来事は知らないうちに我々の背後に迫っている可能性は大いにあるのだ。