140字プロレス鶴見辰吾ジラ

スリープレス・ナイトの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

スリープレス・ナイト(2017年製作の映画)
3.5
”お父さん頑張らナイト”

フランス映画のリメイクというお洒落感。
主演ジェイミー・フォックスというキレ味。
ラスベガスという眠らぬ街で
汚職警官が麻薬絡みで七転八倒!
裏社会のシリアスな雰囲気で
スタイリッシュでツッコミどころ
午後ローへのカムバックを期待する
実況向きな憎いヤツ!

冒頭の夜景から始まるカーチェイスと銃撃戦。汚職警官が危険な道に入り強奪した麻薬は、ギャングの大者と裏に通ずるカジノ経営者を敵に回し、息子を誘拐され、汚職警官摘発のために現れた正義感の強い女捜査官も現れ、全方位緊急事態に四苦八苦するお父さん。妻に息子の行方を問いただされ、さらに四苦八苦。あらゆる方面のベクトルが主人公を追い詰め、眠らぬ街の狂気に男が振り回される不条理系のサスペンスアクションかと期待に胸躍らせていた中盤までがありました。そしたら、そしたら息子奪回、また誘拐、捜査官と格闘劇、アイツは小者でアイツは裏切り者?堂々巡りなカジノビルの中で、すべてのベクトルが中心に集まっていく高揚感と、そこでそのシーンとそのキャラの手助けいる?というあまりにカオスな場面作りの衝撃性に、思わず笑ってしまいました。

これは、これは
午後ローで実況すると楽しいヤツじゃないですか?

名優を使いながら調理を間違えジャンクフードの様相となったおフランス映画原作に、それでも派手なクラッシュシーンがあれが世はこのもなし。ランタイム90分そこそこの安心感と、スタイリッシュな裏社会のヴィジュアルから繰り出すこち亀的なギャグ描写の清々しさは、真剣に可笑しなことやっている人を笑うギャグのマナーに近いです。

殴り合いに加勢して蹴り飛ばされる息子。
大者気取りながら股間を掴まれ縮み上がるアイツ。
あのタイミングで駆けつけるあの人。

むしろジェイミー・フォックスは、ジェイソン・ステイサムと入れ替わるべきキャスティングではないかと真面目に議論したくなる展開。ただジェイミー・フォックスという役者ブランドが放つ高級感に、本作で起こりうる事象がお高くつくのがさらに滑稽。これは皆様と午後ロー実況したい案件ですな~。「コマンドー」や「バトルシップ」のようなレジェンド実況系ではないですが、地上波放映のときにリアクション込みで楽しめるサスペンスアクション、オススメです。