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荒野の用心棒のHiromasaのレビュー・感想・評価

荒野の用心棒(1964年製作の映画)
4.0
なんだかんだ言って人助けが好きな普通のヒーローとして登場したイーストウッドが、一度棺桶に入って「幽霊」として蘇るところが捉えられた映画であり、大げさに言うと、涙なしには見れない。
イーストウッドという痩せて長身の男は重力と均衡を保ちながらユラーっと立っているが、この映画でも、たとえば馬に乗って走ってるところから前方に突き出ていた木の棒を掴んで股の下の馬を逃し自分は棒からぶら下がってゆらゆら揺れる。そのように重力と戯れる姿が見られる。
他の方も指摘されているように、クライマックス、大真面目な顔でダイナマイトを無駄遣いしててウケる。あと、うっかりして女を殴ってしまったときため息をつくのがよい。三船敏郎ならこんな顔はしない。俺がいちばん好きだったのは序盤、棺桶屋に「3つ棺桶を用意しとけ」と言って歩いて行き、敵を4人撃ち殺して、戻ってきて「間違えた、4つだった」と言うとき、歩きながらふらーっと手を上げて指を4本立て、その指をそのまま顔に持っていってひげを撫でる。この滑らかな一連の動き。まったく脱力していながらも、無意識的ではない、ユーモアを帯びた運動がすばらしい。……と書いてて自分でも正気か?と言う気がしてきたのでこの辺でやめとく。
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