斎藤工という人が無類の映画好きであることは有名だし今までも監督する機会はいくらでもあったと思うが、この実話に出会うまで長編監督デビューしなかったところに彼の聡明さを感じる。
2年前に撮影した後、思いもかけず高橋一生が大ブレイクしたおかげでこの地味な作品の公開規模が確実に広がったし、監督の持って生まれた運の強さのようなものも感じた。
アドリブっぽい弔問客の独白は笑って泣けたし、高橋ほか松岡茉優、神野三鈴の抑えた演技も素晴らしい。
金子ノブアキの音楽というか音の感じもいい仕事をしていた。
いろんな意味で恵まれた映画だと思う。