してぃぼ

blank13のしてぃぼのレビュー・感想・評価

blank13(2017年製作の映画)
4.2
リリーフランキー、高橋一生、松岡茉優が出ていると聞くだけでもうこれ面白いんだろなあと思ってた斎藤工監督初の長編作品。
斎藤工本人の人間性が色濃く出た作品で、終盤のある種度が過ぎたお笑いパートは、他の映画ではあまり無い壊し方でシュールでした。それまでのシリアスな空気感を思いっきり変えてくる佐藤二朗に加えて、トドメはくっきーというキャスティングは予想外過ぎて笑ってしまいました。

隣の敷地で同じく葬儀を行なっていた同性の松田家とは裏腹にほとんど参列者が来ない松田雅人の通夜。借金まみれにも関わらずいつもギャンブルをしていて、妻に苦労をかけ、挙げ句は夜逃げ。余命3カ月だということで13年ぶりにに会いにいってもやっぱりいつもの父で最後の最後まで借金の話をしていた。

通夜には見るからに社会から逸脱した人が数人来ただけだったが、そこで語られる知られざる父親の顔。子供から見ればどうしようもない人間だと思っても、自分の知らない親の良いところって必ずどこかにありますよね。
結局は参列者が多数いたもう一つの松田家の方はバイトのサクラでカサ増ししていただけという皮肉で終わるのがなんとも良いですね。

人生は最期の瞬間にどれだけの人が葬儀に訪れるかでその人の価値は決まる、みたいなことを時々聞くけど本当にそうなの?と一石を投じた作品。

通夜には参列しませんでしたが、雅人からもらった手紙を持ち、喪服を着て公園に佇んでいた妻の表情がなんとも物悲しい。

こんな風に最期の瞬間に思い出を語ってもらえるような人間になっていたいなと思いました。
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