なおこ

blank13のなおこのレビュー・感想・評価

blank13(2017年製作の映画)
4.5
斎藤工の長編初監督先品。予想以上にとてもとても素晴らしい映画だった。斎藤工はこんな映画を撮る人だと知れた。
彼が暖めてきたであろう今迄やりたかった事が随所にあって(タイトルの出し方とか)映画を好きな人が作った!感が強いが決してくどく無い。
沢山の芸人さんを野放しにお芝居してもらって、とっちからず適材適所な味になってる。
70分というボリュームが丁度良かった。大きな変化や感動、映画に意義を求める人にはオススメしないが、ただそこに居る人達のお話が好きな人にはオススメしたい。
前半後半で雰囲気がガラリと変わる。お葬式だから笑っちゃダメかな?と。でも笑っちゃう。やりたい放題なのにお葬式あるあるを感じたり。音楽で感情を付け加えることもしない。短い70分にがっつりバッサリいった監督の英断。
ほぼ唯一のBGMが木魚リミックスなの。最高か。

松岡茉優の没入感も流石だが、あてがきだという主人公の高橋一生。
「何もしない」というお芝居を許した監督の方針は、彼を主役に抜擢できたことで可能になった演出なのではないかと思う。
微かな仕草、表情筋1ミリの変化。それだけでお芝居をする彼あってこそ。
真っ白な病院の壁を背に、彼の見開かれた真っ黒な目だけで、どんなに色んなものが語られていたか。

壁に変な模様のある田舎の火葬場。並んで座って焼却を待つ。あれも家族の象徴だった。
なおこ

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