minorufuku

blank13のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

blank13(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

13年前に多額の借金を残して失踪した父親が、余命僅かで入院中だと主人公は知らされる。父を恨んでいる母と兄はお見舞いを拒んだが、幼少期に優しくされた想い出を胸に主人公は1人病室を訪れる。しかし、相変わらず借金取りに追われてる様子に幻滅した主人公は、父とのわだかまりも解けぬまま、やがて父は死去する。後日、開かれた葬儀の参列者たちから、主人公は父の13年間の逸話を聞かされるのだが…という話。俳優の斎藤工の長編初監督作品。主演は高橋一生。

地味なテーマながらも初監督とは思えないくらいどっしりと作られている作品。
邦画で本職監督でない人が撮る場合の失敗率は結構高い印象だったが、本作は成功している部類。メインの役者たちのセリフは少ないながらも撮り方の工夫で登場人物の感情の動きやストーリー進行はしっかりと伝わってくるし、面白い。後半がアドリブ芝居っぽいコメディタッチになってるのはあまり好みではなかったが、それでも一本の作品として最後まで描ききっている良作だった。派手なシーンは少ないが、印象に残るカットも多い。自転車で疾走する母親が車に轢かれるシーンはかなり迫力があった。監督の人脈なのか、一瞬しか出ないチョイ役にいたるまで相当な数の有名人が出演している。お笑いタレント多め。
ストーリーとしては、父親の優しい人柄を洗い出す構成は上手いとは思うのだが、他人に優しくても自分の家族を幸せにできないところはあまり共感はできなかった。冒頭、あまりの参列者の少なさに「(父親の)人間の価値が分かるよな」と嘆く兄のセリフが最後に大きな意味を持ってくる点が良かった。父親が主人公に託していた夢の話のエピソードもじんわり心にしみた。
次回作も観てみたい!
minorufuku

minorufuku